2012年度 タブレット端末市場に関する需要動向調査

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■ 2011年度の国内タブレット市場は276万台、2015年度に2.9倍の795万台へ
■ 2011年度のiPad国内出荷台数は182万台、iPadの市場シェアは66%
■ 世界タブレット端末市場は2011年6,326万台、2015年に2.6億台へ成長
■ タブレット端末普及のためにはセキュリティ面での不安解消が必要

 株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は4月26日、タブレット端末市場に関する調査結果をまとめた。

■ 2010年度のタブレット端末市場は89万台、2011年度は3.1倍の276万台を出荷

 2010年4月にアップルがiPadを発売して以来、タブレット端末市場は急速に拡大してきた。日本国内市場における半期ごとの推移を見ると、2010年度上期(2010年4月~9月)に35万台だった市場が、その後54万台、118万台、158万台へと増加を続けている。その結果、2010年度(2010年4月~2011年3月)の端末市場規模は89万台、2011年度は3.1倍の276万台へと急拡大した。この勢いはしばらく続く見通しで、2012年度には2011年度比1.5倍の427万台、2015年度には2.9倍の795万台へ成長すると予想される。タブレット端末の主な用途は、web閲覧、eメール送受信、専用アプリ利用、ドキュメント利用などだが、従来型パソコンを活用していたユーザーが2台目のパソコンとして購入することが目立っている。また、これまでキーボードに触れたことがなかったユーザーが従来型パソコンの代わりに購入するケースも増えている。この他にも、スマートフォンでiOSアプリやAndroidアプリを利用するユーザーが、より大きな画面でアプリを有効活用するためにタブレット端末を購入するという場合もあり、様々なユーザー層に浸透し始めてきたことで市場が活性化している。

■ 2011年度のiPad国内出荷台数は182万台、市場シェアは66%

 これまで、タブレット端末の市場拡大を牽引してきたのはiPadで、2010年度に80万台、2011年度に182万台を出荷している。iPadのシェアは、2010年度で89.9%、2011年度には65.9%となった。Androidタブレットの普及により少しずつ低下しているものの、今後もiPadがこの市場で高いシェアを維持することが見込まれ、2015年度までは約5割のシェアを確保すると予想される。
 スマートフォン市場では、Android OS端末がiOS端末(iPhone)を抑えて5割以上の市場シェアを獲得しているが、タブレット端末市場では31.2%にとどまっている。スマートフォンの場合、ほぼ全ての端末が携帯電話事業者の運営する3G回線とセットで販売されるため、携帯電話事業者の戦略が販売シェアを左右することになる。しかし、タブレット端末の場合は、携帯電話事業者と契約を結ばないWi-Fi専用モデルが存在することで、ユーザーが自由にタブレット端末を選択することができるため、3G回線に縛られることなくiPadを購入しやすいことがAndroid端末が伸び悩む原因のひとつとなっている。ICT総研が実施したアンケート調査では、iPadユーザーの55%がWi-Fiモデルを購入しているのに対し、Androidタブレットユーザーでは、3GモデルやLTEモデルを購入することが多いという傾向が見られた。

■ 世界タブレット端末市場は2011年6,326万台、2015年に2.6億台へ成長

 世界のタブレット端末市場は、2010年(2010年1月~12月)に1,720万台で、そのうちiPadが1,490万台、市場シェア86.6%という圧倒的シェアを占めていた。2011年には、市場規模が3.6倍の6,236万台へと拡大し、iPadも4,062万台へと急増している。しかし、iOS以外のタブレット端末も2,174万台に増えたため、iPadのシェアは65.1%へと減少している。2012年は、新型iPadの投入でさらに出荷台数が伸びる見込みで、そのシェアは63%を維持すると予想される。今後は、ノートパソコンの代替需要や、企業・学校での利用もさらに増える見通しで、2015年には2.6億台の巨大市場に成長すると期待される。
 今後、iPadの高いシェアを切り崩す可能性のある端末として、Amazonのキンドル・ファイアやWindows 8タブレットに注目が集まっている。199ドルと他のタブレット端末と比べて著しく低価格なキンドル・ファイアは、米国市場でiPadに次ぐ売れ行きを示しており、コストパフォーマンスの高さで今後も一定のシェアを獲得する見通しである。また、2012年秋に発売開始が予定されるWindows 8搭載タブレットは、マイクロソフト・オフィスを利用するビジネスユーザーの支持を集めそうだ。

■ タブレット端末普及のためにはセキュリティ面での不安解消が必要

 ICT総研では、タブレット端末利用者2,000人を対象に、タブレット端末の良い点・悪い点に関するアンケート調査を実施した。良い点としては、「画面が閲覧しやすい」、「サイズ・重さがちょうど良い」という項目に支持が集まっている。逆に悪い点としては、「セキュリティが安心」という項目が非常に低く、スマートフォンと同様に持ち運びする端末としての特性や、タブレット用ウィルスソフトの不備がユーザーの不安を募らせているようだ。iPadは、画面の見やすさが圧倒的支持を集めている反面、セキュリティへの不安を訴えるユーザーが多く、これらのデメリットを解消する必要がありそうだ。また、ソニー・タブレットのユーザーがバッテリーの持ち時間に満足している傾向が見られ、これらの利点を伸ばすことができれば、さらなる市場拡大につながると言えそうだ。

【本資料における用語の定義】
*タブレット端末: タッチスクリーン入力の可能な6縲鰀11インチ程度のディスプレイを備えたスレート型情報通信端末。アプリ等の利用が出来ない電子書籍専用端末は含まない。
*iPad: 初代iPad、iPad2、新型iPad及び今後発売が見込まれる同シリーズの商品群。
*出荷台数: ユーザーからの予約や販売契約に基づきメーカーから工場出荷されたもの。流通在庫分を含む。

【本資料における用語の定義】
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。

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