コンセント埋め込み型アクセスポイントにWi-Fi 7　高速化と省施工を実現

ティーピーリンクジャパンから、法人向けアクセスポイントのラインナップに待望の新商品が出た。特に人気の高いコンセント埋め込み型APシリーズに、最新無線LAN規格であるWi-Fi 7に対応したモデルが加わることとなる。今回発表されたのは、「BE3600埋め込み型Wi-Fi 7アクセスポイント」として、PoE給電に対応する「EAP720-WE」と、AC給電に対応する「EAP720-WE-AC」の二機種。これらの新モデルは、2025年5月、日本国内での販売開始を予定している。

　両モデルは、壁内のコンセントボックスに直接設置することを前提とした、JIS規格マルチメディアコンセントに準拠した日本仕様のデザインを採用。外形寸法は43.5mm × 47mm × 69mmと非常にコンパクトで、ホテルの客室や集合住宅、オフィスなど、美観を損なわずに無線LAN環境を構築したい場所に最適となる。埋め込み型ならではの、物理的な盗難やケーブルのいたずら防止といったセキュリティ面のメリットも大きい。

　最大の技術的特長は、最新のWi-Fi 7テクノロジー「IEEE 802.11be」に対応した点にある。これにより、理論値で合計3570Mbpsという高速な無線通信速度を実現した。具体的には、5GHz帯で2882Mbps、2.4GHz帯で688Mbpsの内訳となり、帯域幅の効率的な利用や、干渉への強さといったWi-Fi 7のメリットを享受し、多数のデバイスが同時に接続する環境でも安定した通信を提供する性能を持っている。有線インターフェースも抜かりなく、アップリンクには将来を見据えた2.5GbEポートを一つ、ダウンリンクにはPCやIoTデバイスなどを接続するためのギガビットポートを一つ搭載。無線だけでなく有線での高速接続環境も提供する。

給電方式の選択肢がある点も、多様な設置環境に対応する上で重要だが「EAP720-WE」はネットワークケーブル一本でデータ通信と電力供給が可能なIEEE 802.3af準拠のPoE給電をサポートとなっており、既設のPoEスイッチがある環境や、新規でPoE環境を構築する場合にケーブル配線の省力化が図れる。一方、「EAP720-WE-AC」は一般的なAC 100～120Vからの給電に対応。壁内のコンセント配線を利用できるため、PoE環境がない場所や、PoEスイッチからの距離が遠い場合などに有効な選択肢となる。消費電力は両モデルともに8.4Wと低く抑えられている。

特に集合住宅や寮といった環境での導入を容易にするため、本製品には二つのバージョンがあり、一つは標準品、もう一つはSSIDとパスワードが初期設定され、本体に印字されたタイプだ。初期設定済み品は、Omadaコントローラーによる集中管理を行わないスタンドアロン運用において、設置後すぐにWi-Fiが利用できるプラグ＆プレイに対応。ただし、Omadaコントローラーで管理する場合は、コントローラー経由での設定が必要となる。想定販売価格は「EAP720-WE」が税込32,900円、「EAP720-WE-AC」が税込33,900円となる見込み。法人向け製品として、長期にわたる安定運用をサポートする5年間の長期保証が付帯する。

　さらに、TP-Linkの統合型ソフトウェア定義ネットワーク（SDN）ソリューションである「Omada」プラットフォームへの対応も、本製品の大きな強みとなる。Omada対応のVPNルーター、PoEスイッチ、そしてOmada SDNコントローラー（ハードウェアまたはソフトウェア）と組み合わせることで、ネットワーク全体を一元的に管理・運用できる拡張性の高いシステムを構築可能だ。Omadaハードウェアコントローラーを使用する場合、ライセンス費用は不要。これにより、導入コストを抑えつつ、多数のAPや他のネットワーク機器を単一のインターフェースから管理できる効率的なネットワーク運用が実現する。Omada SDN環境下では、アクセスポイント間の連携によるシームレスなローミング（802.11k/v/r準拠）やOmadaメッシュといった機能も利用可能。ユーザーはフロアや部屋を移動しても途切れることなく高品質な無線LAN接続を維持できる。また、安全性の高いゲストネットワーク機能として、SMS認証やバウチャー認証などもOmadaコントローラー経由で実装可能となる。この埋め込み型Wi-Fi 7APが、複雑な空間の無線環境構築を大きく変え、高密度接続時代の新たな標準を築くと期待できそうだ。

参照元：https://www.omadanetworks.com/jp/press/news/21755/

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