ソフトバンク4~12月期 営業益23.6%増、ソフトバンク流「群戦略」の構想明かす
ソフトバンクグループは2月7日、2017年4~12月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比3.5%増の6兆8113億円、営業利益は同23.6%増の1兆1488億、純利益は同20.0%増の1兆149億円であった。米スプリントの大幅増益に加えて、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業の評価益が大きく寄与し、同期間としては2年連続で過去最高となった。
本業のもうけを示す営業利益では、コストを削減し新規契約件数が堅調に推移したスプリント事業で1466億円のセグメント利益が増加。また、10兆円規模の資金を運用するソフトバンク・ビジョン・ファンドが2364億円収益を押し上げた。
一方、主力の国内通信事業はモバイルデータ通信端末の減少などの影響により387億円、ヤフー事業で78億円、流通事業で598億円、アーム事業で318億円、それぞれのセグメント損益が悪化した。
決算会見の場に登壇した同社代表取締役社長の孫正義氏は、多くの時間を割き、今後のソフトバンクの在り方について言及した。
孫氏によれば、IT企業の成長のピークは30年で止まってしまうという「30年限界説」があり、その理由として「起業家自体が年を取り、ブレイクスルーとなったテクノロジやビジネスモデルが古くなってしまうことが考えられる」という。その問題を解決し、300年間成長し続ける会社を作るために、孫氏が考え抜いて辿り着いた結論が「群戦略」だというのだ。
ソフトバンク流の群戦略とは、一言でいえば「No.1の会社の群れ」を作ること。一部の例外を除き、ブランドは統一しない。持株比率も20~30%程度に抑え、過半数以上を要求しない。
こうすることで、No.1の会社を集めやすくなり、結果として20兆円を超える規模の株式をグループで集めることができるという。そうしたことから、孫氏はソフトバンクグループを「戦略的持株会社」と位置付ける。
そして、話は、国内通信事業のソフトバンクの説明に移り、「ソフトバンクの上場準備開始」を明らかにした。しかし、ここにも根底には群戦略が関係しているという。孫氏は、「親子上場はルール違反だ、世界の時勢に合わないと批判する人もたくさんいるが、私はそういう小さな次元で何か少しメリットを得ようと考えていない」と述べ、ソフトバンクを独立させることで国内通信事業の価値を顕在化し、自律的かつ機動的な成長を実現させるという考えを示した。
その上で、国内通信事業の営業利益が前年同期比387億円減の6127億円となった直近のデータを紹介し、減益の要因は「上場した後に永続的に利益を増やすために、一度先行投資して、顧客を増やすために色々な種を撒いている」として、今期は、来期増益に向けた先行投資フェーズであると説明した。
また、ソフトバンクの今後について、「Beyond Carrier」をテーマに、「通信事業を情報革命の新たなステージに持っていく」(孫氏)として、成長戦略として「顧客基盤の拡大」と「新規事業の創出」に注力する方針だという。
前者については、ウルトラギガモンスター・SUPER FRIDAYといった施策や、サブブランド「Y!mobile」との2ブランド体制、そしてLINEモバイルとの戦略的提携の取り組みを紹介。また後者については、国内企業やソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先企業などと合弁事業を立ち上げるなどして新たなビジネスモデルを創出していく考えを示した。