ドコモとファーウェイ、「5G」ミリ波帯で下り最大3.35Gbpsの長距離伝送に成功
NTTドコモとファーウェイは、次世代のモバイル通信「5G」の屋外実験を実施し、1.5kmの距離で下り最大3.35Gbpsという長距離伝送に成功したと発表した。
周波数帯は、「ミリ波」と呼ばれる帯域から、39GHz帯の1.4GHz幅を利用。
ミリ波帯は大容量を確保できるものの、電波の減衰が大きく、遠くに飛ばすことが非常に困難だと考えられてきた「ミリ波」の電波を、都市部だけではなく、地方、郊外、山間部などの多様な環境で利用し、より広いエリアで5Gの性能を活かしたサービスを提供できる技術の有効性を実証することができたとのこと。
具体的には、横浜メディアタワーに設置したファーウェイの5G基地局から約1.5km離れた地点において、携帯電話端末に相当するファーウェイの5G移動局装置を搭載した測定車両に、移動時(時速約20km)で受信時最大2.02Gbps、静止時で受信時最大3.35Gbpsの超高速通信を達成。また、5G基地局から約1.8km離れた距離でも、5G移動局装置の静止時で受信時最大2.14Gbpsの超高速通信速度を達成。
同実験では、5G基地局にメタマテリアルを応用したレンズアンテナを用いてアンテナの小型化を実現しつつ、電波をユーザ方向へ集中させ、強めて送信するビームフォーミングによってミリ波帯の長距離伝送を実現した。特に今回の実験では、39GHz帯の電波を遠くに飛ばすために無指向性アンテナの1000倍程度に相当する超高利得(31dBi)なビームフォーミングをレンズアンテナによって実現。また、走行する5G移動局へビームを追従させるため、ビーム切り替え・随従技術を用いた。これらの技術によって、広域な実験環境において端末が静止および移動する場合それぞれに関して、「超高速」かつ
「長距離」の伝送を実現。
■39GHz帯を用いる5G移動通信の長距離伝送実験の概要
横浜市みなとみらい21地区に設置した5G基地局から、電波を一定方向へ集中して強めて送信するビームフォーミングによって、ミリ波帯の長距離伝送を実現。約1.5km離れた地点で、5G移動局装置の移動時に2.02Gbps、静止時に受信時最大3.35Gbpsの超高速通信を達成。また、約1.8km離れた距離でも、5G移動局装置の静止時に受信時最大2.14Gbpsの超高速通信を達成。
場所:横浜市みなとみらい21地区
周波数帯(帯域幅):39GHz帯(1.4GHz)
装置の特徴:5G基地局および5G移動局装置
・ビーム半値幅: 3.5°程度
・候補ビーム数: 128個 (水平 8個 X 垂直 8個 X 偏波 2個)
■使用技術の特徴
同実験では、メタマテリアルを応用したレンズアンテナの超高利得なビームを制御するために以下の3つの技術を利用。
(1)最適ビーム探索技術
基地局および端末において複数ビーム候補を用意し、それぞれのビーム候補における受信品質を測定、受信品質が最も高いビームを選択することにより、信号の受信品質を向上させる技術。
(2)ビーム切り替え・随従技術
基地局側および端末側のそれぞれにおける送受信用最適ビームを、端末の移動や無線チャネル変動に合わせて、定期的に更新することにより高い受信品質を維持させる技術。同実験では10ミリ秒ごとに最適ビームを更新。
(3)ビーム探索時間短縮技術
基地局および端末における最適ビーム探索に必要な時間を抑える技術。同実験では全ビーム探索時間(128個ビーム)を約160ミリ秒に抑えました。8個の候補ビームごとに10ミリ秒の探索時間を要した。