【業界トピックス】モバイル機器での身分証明管理「スマホで身分証明」、日本提案の国際規格案審議

モバイル機器での身分証明管理「スマホで身分証明」、日本提案の国際規格案審議

 経済産業省は、スマートフォンに身分証明機能を搭載する規格について、日本から提案した案の国際標準化に向けた審議が始まったと発表した。海外ではデジタル運転免許証などと呼ばれる、モバイル機器を用いた身分証明管理の実用化に向けた研究・実証が進んでいるが、その信頼性やセキュリティ確保といった課題に対処するために、国際的な基準が検討されている。

 海外において身分証明機能をモバイル機器に持たせる取組が進みつつあるが、モバイル機器自身はグローバルに流通する製品であるため、実際にモバイル機器にパスポートや運転免許証等の高精度な本人確認を必要とする身分証明機能を搭載する上では、複製・偽造・改ざん等を防止するための国際的な仕組みを整備し、ICカードと同等以上のセキュリティ機能が必要だ。そのため、身分証明書の機能をスマートフォンのアプリで実現し、必要に応じて最新の身分証明書情報への同期やセキュリティの更新等を担保するための仕組みが国際的に検討されている。

 現在主流となっている、セキュリティ機能付きの身分証明用のICカードでは、発行者が発行時にICカードとしての信頼度を確認してユーザに交付している。しかし、スマートフォン等のモバイル機器は元々ユーザの手元にあるため、身分証明書の発行者(個人情報、識別情報を追加・上書きする者)がモバイル機器のセキュアエリアの信頼度を自ら確認することは困難だ。そこで、先般日本より、身分証明書発行時に個人認証可能なモバイル機器でのセキュアエリアが機能要件を満たしているかどうかを確認するための仕組みを規定する国際標準案を提案した。2020年7月から本格的な議論が始まり、2022年の国際標準化を目指している。

 この規格が成立し、将来、関連規格が実装されたモバイル機器が普及すれば、各種身分証明機能をダウンロードして利用する上で、十分なセキュリティが確保できる。また、これらのモバイル機器に搭載された身分証明書は、常に個人の身分証明に必要な属性や権利・資格等の情報などを最新の状態で保持することができるため、規格成立によって、正確で信頼性の高い情報を元に、より精度の高い本人確認や資格確認を行うことができる。さらに、身分証明書を利用するためのセキュリティについても随時更新できるため、これらの身分証明書を安心して利用できる環境が構築でき、スマートフォン等を通じたオンライン上での本人確認や資格確認の利用拡大が期待される。

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