【業界トピックス】楽天が大手3社に続き携帯電話キャリア事業参入へ、来年初めまでに新会社をつくり、2025年までに最大6000億円を調達

楽天が大手3社に続き携帯電話キャリア事業参入へ、来年初めまでに新会社をつくり、2025年までに最大6000億円を調達

 楽天は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクグループに続く第4の携帯電話事業者に名乗りを上げることを発表した。総務省が来年、携帯電話向けに割り当てる電波の周波数を取得し、2019年中のサービス開始を目指すとのこと。

 同社は、来年初めまでに新会社をつくり、2025年までに最大6000億円を調達し、基地局などに投資する。全国に自前の基地局を設置する方針で、まず人口が多く効率のよい都市部で投資するとみられる。1500万件の契約を目指すという。
 大手3社による寡占に風穴が開くことで、日本の携帯市場は新たな局面に入る。実現すれば、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクグループの3社の寡占状態だった業界で、「第4の携帯電話キャリア事業者」が誕生することとなる。

 総務省は来年3月までに、防衛省や放送事業者などが使う電波の周波数を、利用が急増している「4G」方式の携帯電話向けに割り当てる。審査では新規参入者が優先され、楽天が十分な体制を用意すれば取得できる公算が大きい。
ただ、各地に基地局をつくるだけでなく、年間数千億円とされる整備費もかかる。自前の回線を整備するための巨額の設備投資だけでなく多くの課題が山積している。ドコモやKDDIは既存の通信事業者が母体となり、ソフトバンクもボーダフォン日本法人を1・7兆円超で買収し一気に設備と顧客を手に入れた。

 楽天は現在、ドコモの回線を借りて格安SIM事業の「楽天モバイル」を手がけている。契約数は11月に買収した「フリーテル」の分を合わせて約140万。ただ携帯電話全体の契約数は約1億6000万で、大手3社が約9割を占める寡占状態だ。楽天の契約数は全体の1%未満にとどまる。

 利幅が薄い格安SIM事業は、大手も同事業で攻勢をかけているため、価格競争が激しい。現状で契約数を伸ばすのは限界があり、楽天は今回自前で回線を持つ形への切り替えを決めたとみられている。
通販や旅行などのサービス顧客基盤を活かし、契約数をどこまで伸ばせるか。まずは、どのような参入計画を今後打ち出すかが注目される。

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