災害医療対応支援とリアルタイム遠隔医療教育に5G VR活用、KDDI・防衛医科大・Synamonが実証実験
防衛医科大学校、KDDI、Synamonは、5GとVRシステムを活用した災害医療対応支援の実証実験を実施した。あわせて、医療教育現場においてVRシステムを活用した遠隔教育に関する実証実験を行った。
災害時において、可能な限り多数の傷病者の治療を行うために、傷病者の緊急度や重症度に応じて優先順位を決定し、現場処置、病院選定、患者搬送を行うことが重要となるが、その際に災害現場、消防機関、医療機関などの機関が適切に連携する必要がある。しかし、遠方の現場の状況把握は難しく、各機関の連携にあたっては、実際に各機関の職員が集合しなければ困難であるのが実情となっている。
今回実施された災害医療対応支援に関する実証実験では、5Gの高速、大容量の特長を活用し、災害現場に高精細の360度カメラを設置。5Gを通じて映像をVR空間上に配信、投影し、VR空間内で医療従事者や消防機関が連携して現場を指揮・支援するシステムを構築した。
通常の平面映像では被災状況など災害の全体像がつかみづらいという課題があるが、今回360度カメラを活用しVR空間上で現場にいる職員と遠隔地にいる医療従事者などの専門家が双方向にコミュニケーションを行い連携することで、遠隔地からでも現場にいる職員に対して指示を出すことが可能となり、救命活動を円滑に進められることを確認した。
また、医療教育においては、教員の不足や基礎研究に資する設備が不十分などの課題があり、これら研究環境の整備が急務となっている。
今回の取り組みでは、爆傷に対する治療技術を研究している防衛医大において、同研究のための日本で唯一の設備である「ブラストチューブ」に関して、5GとVRを組み合わせ、VR空間上での設備見学やディスカッションなどの双方向コミュニケーションに関する実証実験を実施した。
具体的には、同設備の設置場所に高精細の360度カメラを配置し、その映像を、5Gを通じてVR空間に配信、投影し、VR空間を遠隔地にいる複数の参加者が共有することで、集合が難しい場所でのバーチャル会議や高精細映像による遠隔からの設備視察などの有効性について確認した。
防衛医大、KDDI、Synamonは、今後も5GやVRなどの最新の技術を活用した医療研究への応用を見据えた検討を進めていくとしている。