【特別寄稿・コムスコープ社】2020年、5GとAIが与えるデータセンター産業へのインパクト
通信インフラ向けに製品及びソリューションを提供する世界でも有数の大企業であるCommScope 社。本稿は、北アジア地域法人担当バイスプレジデント ローラ・チェン氏による特別寄稿として取り上げる。
【2020年、5GとAIが与えるデータセンター産業へのインパクト】
2019年は、多くの分野や業界にとってデジタル変革の年となりました。データセンター市場も例外ではありません。今日的な意味を保ち、なおかつ急速に進化する技術についていくというプレッシャーが高まる中、データセンター事業者は次なる事態のために変革し、備える必要性を感じています。
2020年、最も新しく、かつ成熟した技術として採用してきた結果がデータセンターで形になりつつあります。特に、5Gがエッジコンピューティングの需要を押し上げる一方、人工知能(AI)により、エンドユーザーと内部の従業員の双方について、この市場において新たなサービスの展開が強化されるでしょう。
これらを踏まえ、2020年のデータセンター市場に関する予測の上位3項目を次に示します。
■2020年、5Gの展望のおかげでエッジコンピューティングが台頭
2020年は、5Gの超高速度や低遅延、マシン対マシン通信を利用する最初のアプリケーションが導入されていくでしょう。これらの新たなサービス(例:高解像度クラウドゲーミングや産業IoTによるプロセス制御、労働者のためのオンサイトの拡張現実ガイダンスなど)が、5Gにより解放してくれる価値を証明してくれることでしょう。
来年、そのようなアプリケーションが広く展開されることは想定されていませんが、可能性として、データセンター市場を含む業界の再編成が始まるでしょう。例えば、10ミリ秒以下という遅延が提供可能となる5Gの能力により、低遅延の5Gアプリケーション展開は、近い将来、容易になることでしょう。2020年は、データセンターが5Gアプリケーションの到来に備えることが必要になります。
低遅延アプリケーションを成功させるには、5Gだけでは間に合いません。また、これらのアプリケーションのデータを、エッジデータセンターのようなエッジコンピューティング技術を使って、ソースの近くで処理する必要もあります。エッジコンピューティングがあれば、エッジデバイスと遠隔地のデータセンターとのデータのやりとりを避けることができます。これにより遅延が大幅に減らすことで、新たな低遅延5Gアプリケーションが、その期待を完全に満たすことができます。その結果、これらのアプリケーションを実現するため、さらに多くのデータセンターが2020年にエッジコンピューティングに移行していくことでしょう。
■AIによりデータセンターでの新技術採用が加速
機械学習や深層学習、その他の人工知能技術の展開は今や主流となり、私たちが毎日使うクラウドサービスの多くに力を与えています。
企業が集めたデータをさらに活用し、AIモデルを構築・展開、新たなサービスに力を与え、新たなビジネスの知見を生み出す中、AIの利用は益々加速していくことでしょう。企業が好調な業績を持続させたいのであればデータセンター事業者は、センターの中心にある高速のネットワークやサーバーのみならず、AIモデルをエンドユーザーにより近いところで展開できるよう対応する必要があります。
この状況は、データセンター事業者にとって大きな課題ですが、チャンスともいえるでしょう。AIを支援するために、しかるべきネットワーキングやコンピューティング、エッジデータセンターの技術をうまく導入できれば、顧客側が機会をもたらすでしょう。そのため2020年には、データセンター事業者や運営者は、彼らの顧客がAI対応クラウドサービスのために必要とする性能を実現できる方法にますます注力していくことが予想されます。
■2020年、データセンター事業者は労働効率の支援のためにAIに大きく依存
共同設置の増加に伴い、APAC(アジア太平洋)地域では依然として高い需要を保っています。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの調査によれば、APAC地域において、今後5年間で共同設置が2番目に早い成長が見込まれています。CAGR(年平均成長率)は12.2%で、これを上回る地域は東南アジアのみ。急速なデジタル化やクラウド基盤のサービスの需要増により、成長に拍車がかかると想定されます。
これらすべての需要にもかかわらず、逼迫した労働市場や、エッジコンピューティングのセンターを最重要地域から離れた場所に構築するというニーズの増加により、現在、必要な技術分野の人材を採用・維持するという課題が、今まさにデータセンター事業者につきつけられている、といえるでしょう。
これらを踏まえ、データセンター事業者は、従業員の生産性最大化のため、新たな人工知能やその他のスマート技術の利用を増やしていくことがが想定されます。例えば、AI技術を活用して、サービス技術者が作業を完了するのを補助するARヘッドセットがあります。同時に、データセンター装置の業者は、AIを活用した予知保全を利用して、装置の動作を効率化したり、コストを削減したりするでしょう。これにより、データセンター事業者は マンパワーを減らしながら生産効率を上げることが可能となります。
これらの新たなAI能力の採用に対して受け身のデータセンター事業者は、競争の激しい市場で、顧客が求めるサービスを届けるのに必要な人材を見つけたり、維持したりすることができないため、成長が鈍化してしまう可能性があります。
■データセンターの次なる段階に備える
5Gといった高度な最新技術がデータセンターで導入され始め、機械学習やその他のAI技術により、新たな学習方法や作業方法が生み出されていくことでしょう。2020年を迎えたことは、データセンター事業者にとって、自社のビジネスを成長・強化させる機会を迎えたことを意味します。これらの技術の恩恵が実を結ぶには、少なくとも数年がかかるかもしれませんが、自社の事業戦略に最新技術を組み込んだデータセンター事業者は、将来的にメリットを受けるのに最良のポジションに現在いる、といえるでしょう。
■コムスコープについて(https://ja.commscope.com/)
コムスコープおよび最近グループに加わったARRISおよびRuckus Networksは、有線および無線通信の未来を形作ることによって私たちの明日を再定義する。同社の従業員、イノベーター、技術者のチームが、世界中のあらゆる地域のお客様における課題を予測し、その可能性をさらに押し広げるためのサービスを提供している。
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