実態と乖離?NTTドコモが全国10都市1500地点でのスマホ実効速度の計測結果を発表
NTTドコモは、全国10都市1,500地点でのスマートフォンの実効速度の計測結果について、同社ホームページの「サービスエリア」の項目で発表した。2015年7月に総務省が示したガイドラインに沿って実測されたものであり、2015年内に公表することを求められていた。au (KDDI)とソフトバンクも同様に、年内に発表する見込みだ。
総務省の調査によると、以下のような点が問題とされていた。
・近年、スマートフォン等の急速な普及に伴い、「最大通信速度(ベストエフォート)型サービスとはいえ、うたわれている通信速度が実際と乖離している」こと
・「勧誘・契約時の説明と異なり、思ったほどの通信速度が出ない」といったスマートフォンやモバイルデータ通信に係る苦情が増加していること
・ 広告や販売勧誘の際に示される通信速度等のサービス品質の表示が規格値となっているが、当該規格値では必ずしも利用者が期待し得る通信速度を踏まえている状況にないこと
・ 事業者やメディア等が独自の通信速度に関する調査結果を公表しているが、基準にばらつきがあり、比較が困難であること
上記の課題を踏まえ、総務省が計測方法、計測場所、集計方法などについてのガイドラインを示し、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの各携帯電話事業者に対して、事業者ごとに全国10都市1,500地点での実効速度の計測を求めた。今回のNTTドコモの発表は、これに応じたものとなる。
NTTドコモが実施した全国1,500地点の実効速度計測の対象とし、計測期間は以下となる。
【計測対象都市(全国10都市)】
秋田市・東京23区・さいたま市・富山市・大阪市・京都市・堺市・松山市・北九州市・大分市
【計測期間】
2015年10月~2015年12月
そして、実効速度の計測結果は以下となる。
全国10都市で計測した全送受信速度の実効速度のおおよその範囲(中央値に近い半数(25%値~75%値の範囲))
・Androidの実効速度(下り):53Mbps~91Mbps
・Androidの実効速度(上り):13Mbps~28Mbps
・iOSの実効速度(下り):49Mbps~89Mbps
・iOSの実効速度(上り):14Mbps~30Mbps
同社ホームページ上では、1,500地点全ての計測結果が確認できるようになっている。
・Androidの全計測結果
https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/support/area/effective_speed/android.pdf
・iOSの全計測結果
https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/support/area/effective_speed/ios.pdf
この結果を見ると、非常に良好な計測結果が並んでいる印象だ。特に富山県などでは軒並み下り100Mbpsを超える計測結果が示されており、驚愕の結果とも言える。調査会社・ICT総研は定期的に実効速度調査を自主企画として実施しているが、計測場所によって多少のバラつきはあるものの、下りの実効速度平均は20~40Mbps程度となることが大半である。他の調査会社による同様の調査でもその傾向は変わらない。今回NTTドコモが示した計測結果は、これらの調査会社の調査結果とも乖離してしている。
もちろん、ネットワーク側の環境、基地局からの距離、利用者の利用状況など、さまざまな要因によって計測結果は大きく変動するものであるが、良好な環境の場所を抽出して計測している可能性もあり、真の意味での「実効速度」と言えるかは疑問が残るものと言えよう。
携帯電話事業者自身による計測結果とは別に、第三者期間利用者目線での真の「実効速度」の公表が引き続き求められているのではないだろうか。
NTTドコモなど、携帯電話3社によるこの実効速度計測結果の公表は、本年中に順次行われる。また、この情報の広告・カタログへの反映は2016年3月中をメドに実施される見込みである。
この調査の詳細は、NTTドコモのホームページ(以下)で確認いただきたい。
(https://www.nttdocomo.co.jp/support/area/effective_speed/index.html)
http://denpanews.jp/