【業界トピックス】2016年は企業にとってスマートロボット元年に、「Pepper World 2016」記者説明会

2016年は企業にとってスマートロボット元年に、「Pepper World 2016」記者説明会

 1月27日、ソフトバンクは同社が開発・販売する人型ロボット「Pepper」の法人活用事例などを紹介するイベント「Pepper World 2016」開催に伴い記者説明会を実施した。説明会にはソフトバンク代表取締役兼CEO 宮内謙氏とソフトバンク ロボティクス社長 冨澤文秀氏が登壇し、Pepperの法人向けサービス「Pepper for Biz」の紹介を行った。

宮内氏「Pepperは企業の人材不足の救世主に」

 始めに登壇した宮内氏はまず日本の企業の課題として人材不足を指摘。2045年には労働人口は現在のおよそ30%減になると予測され、今現在においても83%の企業が人材不足を感じている状況にある中、Pepperはその救世主になれると宮内氏は話す。「Pepper for Biz」は昨年10月に開始されて以来、既に色々なところで取り上げられ、日々進化しており、「Pepper World」ではそれを是非知ってもらいたいという。
 Pepperの法人利用について、企業毎にカスタマイズでき、アプリ導入もできるなど様々な利点があるが、宮内氏はその中でも「接客データの見える化」に注目して欲しいと紹介。これまで店舗では誰が来て、どれくらいの年代の人が来店しているかというデータを全て得ることは難しかったが、Pepperならそれができる話す。
 2016年は企業にとって「スマートロボット元年」になるとし、日本がかつて生産現場で世界に先駆けてロボット化をしたように、販売、接客、介護、教育といった分野でのスマートロボットの活用をスタートダッシュしていきたいと意気込みを語った。
 「Pepper for Biz」の導入企業は既に500社超となっており、説明会では全国の銀行、日産自動車、Nestle、イオン、ヤマダ電機、suumo、一燈会といった企業で接客、販売、福祉といった用途で使われている事例が紹介された。ソフトバンクショップでは来月末までに2,000店舗に導入予定だという。

富澤氏「世界の最新テクノロジーの中心にPepperを」

 続けて登壇した冨澤氏は「Pepper for Biz」は既に200社以上の開発パートナーがエントリーしていることを紹介し、汎用性のあるアプリ、業種別、完全にカスタマイズされたアプリ等、様々なアプリを世に出していきたいと話す。更に既に発表されているIBM Watsonとの提携にも触れ、これからも世界のITジャイアント、最新テクノロジーと提携していき、その中心にPepperを据え、パートナーを通して各施設や企業に身近にその最新テクノロジーが体感できるような世界にしたいと意気込みを示した。
 またこれまでのPepperに対して、客寄せパンダのようなイメージがあったかもしれないが、これからは本当にコスト削減や売上拡大、リアルに企業に貢献してくことになると冨澤氏は話し、「Pepper World」の展示では未来が現実のものとなっており、未来が未来でなくなっているのを体感できる紹介した。
 Pepperの今後の展開については、アプリ等の事前の運用が体験できる「Pepper for Biz体験スペース」を東京、大阪、名古屋、福岡にて2月以降順次オープンしていく他、法人向けアプリが利用できる「ロボアプリマーケット for Biz」を2月22日にオープンし、アプリが最大3ヶ月無料になる等の特典が付く「導入支援キャンペーン」も実施していくと発表。また開発パートナーとエンドユーザーを直接マッチングさせることで、色々なアプリを開発できるような仕組みも考えているという。
 最後に冨澤氏はロボット事業について、IoTやITを含めて世界中動き出している中、「おそらく何十年何百年という戦いになるはず、我々はこのロボット事業を日本発信のロボット事業として必ず勝ちたいと思っている」と熱意を示した。

3月28日より期間限定でPepperだけの携帯電話ショップがオープン
「And one more..」として、ロボットだけで接客する携帯電話ショップを、3月28日より表参道にてオープンするとPepper自ら発表。実験的試みとして4月3日までの1週間、期間限定で実施される予定だ。
 ゲストとして女優の小泉今日子、広瀬すず、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹と綾部祐二も登壇し、Pepperの接客デモンストレーションが行われた。

質疑応答

質問:スマートロボット元年ということで準備は整ったというが、今年は何台を想定しているのか、また準備が整ったとはどういうことか。
回答:生産台数は非公表だが、増産は計画中。準備という点では、開発ベンダーが200社を超え、GEヘルスケアなど様々なところから介護、医療、教育、接客の分野でどんどんアプリケーションが出てきた。かつてiPhoneのアプリが充実して普及していったような流れ。更に中国語、英語といった多言語展開も可能になったのもある。

質問:海外展開について、「Pepper for Biz」を海外に広めていくのか。Sprintに導入していく予定はあるのか。
回答:海外は早ければ今年中には世界展開を始めたい。欧米、アジアという順番に関しては決まっていない。Sprintは具体的な計画というのは決まっておらず、検討中。

質問:ロボットの未来について、AIやバイオテクノロジーと組めば人と見た目が変わらないアンドロイドも出てくるのか、ロボットはあくまで人のサポートに徹するべきなのか。
回答:ロボットは機能別に自立していくと見ており、そこにプラスしてPepperのようなヒューマノイドが出てくる。個人的にはロボットは人に如何に貢献するかだと考えている。

質問:接客データの見える化についてどこまで進んでいるのか。
回答:Pepperの目で全ての画像認識をしており、近い将来にはPepperが一度接客した人は記録されるくらいのことはされるのでは。Nestleのケースだと、接客する人のおおよその年齢、性別など誰が何を買ったのかを全てクラウドに保存できるようになる
はず。

質問:ソフトバンク店舗にPepperを導入した効果はどれほどだったのか。またPepperだけの店舗はどこまでいけるのか。
回答:導入してからまだスタートダッシュの段階で、全国200店舗に入れて接客をさせるというパターンをやってきた。今回からは接客しながら商品についての説明もさせたい。土日などは多くの人が来店する時は契約までに待ち時間ができてしまうが、その待ち時間にPepperで基本的な情報を聞くことで、カウンターでの時間を減らせるはず。よってPepperは待ち時間の接客だけでなく、店員のサポートをするという形になる。いずれはどの端末を選ぶという段階までいければと思う。
 Pepperだけの店舗についてはギリギリのところまでやってみたいと考えている。ただし個人認証など契約の最後のところは人がやらなければいけない。それでもほとんどのアクティビティはPepperでこなせたらと考えている。

質問:ソフトバンクとしてはPepperは法人向けにシフトしていくのか。一般向けのPepperはどうしていくのか。
回答:法人向けにシフトするつもりはなく、個人法人両方やるつもり。Pepperの店頭販売も始めるので、これも全国に広げていく予定。


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