2016年日本クラウドサービス提供事業者顧客満足度調査発表
J.D. パワー アジア・パシフィックは、2016年日本クラウドサービス提供事業者顧客満足度調査の結果を発表した。
当調査は、法人向けのクラウドサービスに関する顧客満足度を調べるもので、IaaS/PaaS型クラウドサービス(ホスティング・レンタルサーバーも含む)に関する調査と、クラウド型グループウェアの販売・導入支援を行うシステムベンダーに関する調査の2つを実施した。
調査は全国の従業員規模50名以上の企業を対象に2016年7月に郵送調査によって行い、IaaS/PaaS型クラウドサービスについては723社から、クラウド型グループウェア導入ベンダーについては585社から回答を得た。なお、IaaS/PaaS型クラウドサービスについては1回答社から最大2つのサービス事業者の評価を得ており、評価件数は820件となっている。
顧客満足度の測定にあたっては、IaaS/PaaS型クラウドサービスでは「サービス内容/品質」、「障害・トラブル対応」、「営業・導入対応」、「コスト」の4つのファクターを、クラウド型グループウェア導入ベンダーについては「導入・構築対応」、「導入後サポート」、「コスト」、「営業対応」の4ファクターをそれぞれ設定し、各ファクターの総合満足度に対する影響度をもとに、総合満足度スコアを算出している(1,000ポイント満点)。
IaaS/PaaS型クラウドサービスの顧客満足度は、ランキング対象となった5社中、NTTコミュニケーションズが第1位(総合満足度スコアは611ポイント)となった。第2位はアマゾンウェブサービス(AWS)とKDDIが僅差で続いた(同610ポイント)。NTTコミュニケーションズは「営業・導入対応」ファクターで5社中、最も高い評価を得ている。
クラウド型グループウェア導入ベンダーの顧客満足度は、ランキング対象となった5社中、ソフトバンクが第1位(総合満足度スコアは609ポイント)となった。第2位はKDDI(同600ポイント)、第3位はサイボウズ(同593ポイント)となった。ソフトバンクは「導入・構築対応」と「営業対応」の2ファクターで最も高いスコアとなっている。
業界全体でみるとIaaS/PaaS型クラウドサービスの満足度では、前述の4つのファクターのうち「障害・トラブル対応」のスコアが最も低い結果となった。詳細項目でみると “復旧・解決にかかる時間”の評価が最も低い。「障害・トラブル対応」はサービス事業者間のスコア差が最も大きいファクターとなっており、バラつきが大きい領域ともなっている。障害原因や問題箇所の切り分け・特定の支援等、顧客側でのトラブル発生の際のサポート体制強化が望まれる。
また、クラウド型グループウェア導入ベンダーに対する満足度では「営業対応」ファクターの評価が4ファクター中、最も低い結果となっており、詳細項目でみると“導入したサービスに対するフォローアップ(様子伺いや情報提供等)”のスコアが低い。この導入後のフォローアップについてはIaaS/PaaSサービスにおいても同様に低い評価傾向にある。サービス納入後における定期的な顧客との関係作りはCS活動の基本でもあり、また他サービス提供のきっかけ作りともなる。ネットの向こう側となるクラウドサービスではあるが、やはり顧客との接点をいかに維持していくかも重要な検討課題であろう。
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