【業界トピックス】KDDIは営業利益で3期連続の2桁成長達成、実質0円廃止など2月以降市場は不透明

KDDIは営業利益で3期連続の2桁成長達成、実質0円廃止など2月以降市場は不透明

 2月9日、KDDIは2015年度第3四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比3.8%増の3兆2,990億円、営業利益が同11.0%増の6,724億円で増収増益を達成。営業利益は3期連続の2桁成長を遂げ、第1期から第3期の累計で通期予想の82%の進捗となっている。

 KDDIは同日に都内にて決算説明会を開催し、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏が登壇して概況を説明した。
 増収増減の要因として挙げられたのは総合ARPA収入の増加で、前年同期比3.7%増の509億円増加を果たしており、その内訳を見ると通信ARPA収入が447億円増、付加価値ARPA収入が62億円増となっている。総合ARPAは同2.8%増の6160円。

 なおKDDIは今期から会計基準に国際基準のIFRS基準を導入しており、前年の日本基準の数字をIFRS基準に変換して比較している。今期の数字を見てみると前年同期比で営業利益がマイナス25億円となっているが、これについては減価償却の算出によるものとし、田中社長は「通期でみてほしい」とコメントした。

 オペレーション数値をみてみると、スマートフォン浸透率は第2四半期から1%増の57%、1人あたりのモバイルデバイス数は同0.01台増の1.40台へと徐々にだが上昇している。一方で純増数は136万件と前年同期よりも10万件減少している。これについては「スマホシフトが進み、MNPの流動性も減っている。こんなもんかな、というのが本音」と田中社長は述べ、タブレットなどスマートフォン以外で純増数を増やしていると説明した。

 付加価値領域においては、「auスマートパス」の会員数は前年同期比16%増の1402万契約、「au WALLET」の累計ユーザー数は同110%増の1810万、「au WALLET Market」の累計会員数は170万人となり、オンラインとオフラインの両方で顧客基盤は順調な拡大をみせている。更にジュピターショップチャンネルへ資本参加することで、30~40代向けにモバイルとテレビ通販を組み合わせた新番組を計画しているという。
 
 焦点となったのは昨年末から揺れ動きを見せている携帯電話市場についてだ。昨年末に総務省が開催したタスクフォースと、それに基づくガイドラインの策定により、携帯キャリアは「1GBプラン」の追加や「実質0円」での端末販売の廃止などを要請され、市場に変化が起こりつつある。
 この点に関して田中社長は「今後の動向は未知数」と困惑している様子をみせた。 消費者からの情報提供窓口の設置や覆面調査の実施をする等の総務省の対応については「価格の適正化をし、実質0円にならないように頑張っていくとしか言えない。コメントは控えさせてもらう。粛々とやっていく」と回答。
 「1GBプラン」については、このプランによりフィーチャーフォンユーザーがスマホへと移行してくれたらとしつつも、行政の要請により作ったのでどれほど数字が出るか分からないと回答。また提供が3月からのため、今期の業績への影響はほとんど無いとしている。
 一方で2月以降の端末販売については、「店の方に聞くと来店者数も大幅減ということが出ている、販売数に関してはかなり減ると見ている。1月末の駆け込み需要もあるので、それが落ち着いた後にどうなるかというのは分からない、というのが偽らざる認識」と業績への影響は不透明な様子が伺えた。

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