KDDI社長に高橋副社長が昇格、田中氏は会長に
KDDIは1月31日、役員の人事異動を発表し、4月1日付で高橋誠副社長(56)を代表取締役社長に昇格すると発表した。田中孝司社長(60)は代表権のある会長に就く。格安スマートフォンの台頭により通信事業の競争環境が激化するなか、金融・決済事業や新規事業を担当してきた高橋新社長のもと、非通信事業の強化を急ぐ。
田中氏は2010年12月に社長に就任。スマートフォンへの参入に出遅れていたが、固定通信とのセット割引「auスマートバリュー」導入や米アップル社「iPhone」の取り扱いを開始するなど、携帯電話事業を立て直した。また、通信事業以外の拡大にも貢献するなど、ユーザーやメディアからは「田中プロ」という愛称で呼ばれ親しまれた。
高橋氏は、金融・決済事業のほか、新事業を担当。かつては、フィーチャーフォン向けの「EZweb」などを主導し、携帯電話のネットサービスで一時代を築いた。同氏は同日開かれた記者会見で、「現在は大きなビジネスの変革期にある」として、IoTや5Gが多くの産業に変革をもたらすと指摘。通信とライフデザインの融合を成し遂げ、新時代の先導役として様々なサービスを提供していきたいと意気込んだ。
田中氏は、高橋氏を「(高橋氏は)第二電電創業時から今に至るまで、会社の成長に貢献してくれた。現在は経営戦略本部長として私を支えてくれている」と評価する。
また、高橋氏を社長に選任した理由について問われると、「KDDIもチャレンジしていかなければならない。彼は、リスクがあっても前に進める力がある。今の時代、適任だと思い太鼓判を押した」と語った。