政府、NTT法改正案を閣議決定 固定電話の提供義務を見直し
政府は14日、NTTに課されている固定電話サービスの全国一律提供義務を緩和するため、NTT法および関連法の改正案を閣議決定した。通信手段の進化に対応し、NTTの経営の自由度を高める狙いがある。

現NTT法では、NTTに全国一律で固定電話サービスを提供する義務が課されている。しかし、メタル回線(銅回線)を使用した固定電話は、設備の老朽化や人口減少の影響で、維持コストの増大が課題となっていた。今回の法改正により、NTTの固定電話サービス提供義務は、他に提供できる事業者がいない場合に限定される。また、携帯電話の通信網を利用した無線の固定電話もユニバーサルサービスに含めることで、NTTの経営負担を一定程度軽減することが狙いだ。
現在、固定電話事業の赤字は国民が負担する交付金で補填されているが、このままでは負担の拡大が避けられない。そこで、国内の安定した通信サービスを維持するため、NTTが保有する電柱などの通信設備を譲渡する際には、国の認可を必要とする新たな制度を導入する。また、経済安全保障の観点から、政府のNTT株保有義務や外資規制も維持される。

NTT法の見直しは、自民党の甘利明元幹事長が主導し、2023年末に廃止を求める提言がまとめられた。この議論は、防衛財源の確保を契機に始まり、NTTの国際競争力向上も目的の一つとされていた。2024年と2025年の通常国会で2段階にわたる改正が計画され、2024年の法改正の付則には「2025年の通常国会をめどに廃止を含めて検討」と明記された。しかし、2024年10月の衆院選で甘利氏が落選したことにより、廃止の機運は後退。政府は今国会での廃止を見送り、付則の文言を「法施行後3年をめどに改廃を含めて検討」と修正した。
一方で、一連の法改正により、NTTの競争力を制限していた経営規制は一部緩和された。2024年の改正では、NTTに課せられていた研究成果の公開義務が撤廃され、外国人役員の登用も可能となった。さらに、社名の「日本電信電話」も変更できるようになり、NTTは6月の株主総会で新社名を決定する予定だ。
政府はこの法案を今国会に提出する方針で、成立すれば2026年春にも施行される。また、光ファイバーなどのブロードバンド通信サービスについても、他の事業者が存在しない場合にNTTが提供を担う義務を負うこととなる。
参考元:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250314/k10014749441000.html
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