2011年度 ブロードバンドサービスの地域別普及動向調査

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■ 大都市圏75%・地方50%強と世帯普及率に大きな格差。
■ 東北地方被災地復興のためブロードバンド環境整備振興策が重要。
■ ブロードバンド加入者数は伸び悩み傾向だがWiMAX利用者は急増。
■ KDDIグループの純増数がNTT東西に迫る勢い。

 株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は6月10日、ブロードバンドサービスの地域別普及動向に関する調査結果をまとめた。この調査は、2011年4月から6月にかけて、全国のインターネットユーザー8,000人へのwebアンケート調査、ブロードバンドサービスを提供するサービス事業者各社への取材結果をまとめて分析したものである。

■ 北海道、東北、四国、九州地方では普及率5割 大都市圏は7割

 ブロードバンドサービスの契約件数は、2011年3月末時点で3,500万件を突破。全国世帯数比の普及率は67.5%に達した。
ブロードバンドサービスの普及率を全国の地域別に見た場合、大都市圏と地方部で大きな開きがあることがわかる。関東では世帯数比で77.5%、関西は74.4%に普及しているが、四国は51.9%、北海道と東北は52.8%にとどまる。また九州地方も53.4%という低い普及率を示している。これらの地域に見られる特徴としては、エリアが広く居住地が分散していること、少子高齢化の進展に加えて、生産年齢人口が大都市圏に流出し、ICTの利活用を得意とする20代から50代の年齢層が減少していることが挙げられる。
 また、CATVやブロードバンドワイヤレスアクセス(WiMAX)などのサービスを受けられるエリアが少ないことも普及率の低迷を招いている。
 普及率の高い関東、関西、中部はいずれも人口集中エリアである大都市圏を有し、光回線、ADSL、CATV、WiMAXなどのサービス提供メニューが豊富でユーザーから見た選択肢も多いのが特徴的だ。

■ 東北地方復興のためにネットワーク環境の充実が必要

 東日本大震災の中心的被災地となった東北地方は、光回線の普及率がまだ30.8%しかない一方で、ADSLの普及率が18.5%と全国で最も高い比率を示している。これはADSLから光回線への切り替えが進んでいないことと、CATVのサービスエリアが一部の都市に限られ、ユーザーにとっての選択肢が少ないことなどが影響している。
 被災地の復興を促進するためにも、多様なブロードバンドサービスやICT製品を利用しやすくするための政策が望まれる。例えばネットワークインフラの増強、ブロードバンドサービス導入のための利用料金補助、ICT教育の充実などが効果的である。また、ICT就業拠点としてのデータセンター誘致や、ICT開発拠点を誘致しやすくする税制優遇策も有効であろう。

■ 光回線が2,000万件を突破、WiMAXも大幅増加

ブロードバンド回線の加入者数は3,500万件に達したが、このところ伸び率の低迷が目立ってきた。光回線は2,000万回線を突破し、さらに増加が見込まれるもののADSL回線の減少が続いているためである。こうした従来型のサービスが伸び悩む一方で、昨年度は、ブロードバンドワイヤレスアクセス(WiMAX)が爆発的に伸び始める傾向を見せた。UQコミュニケーションズが自社ブランドやMVNOなどを通じて提供するWiMAXサービスは1年間で65万件もの増加を示し、2011年3月末時点で80万件を突破した。今後もサービスエリア拡大に伴ってさらに加入者を増やすことが見込まれる。

■ NTT東西とKDDIグループの競争が激化

 NTT東日本・NTT西日本が光回線の加入者を順調に伸ばす反面、フレッツADSLの加入者は昨年度52万件減少した。これはADSL加入者が光回線に切り換えているためである。KDDIはauひかりのサービス加入者を増加させており、さらに関連会社であるJ:COMやUQコミュニケーションズとの連携サービスにも力を入れている。その結果、関連会社を含めたグループとしてのブロードバンドサービス純増数は116万件に達し、NTT東西の純増数(128万件)に迫る勢いを見せている。
 今後は、光回線だけでなく、CATVなどの映像系サービス、モバイル環境でも利用可能なWiMAXなどのサービスも加えたトータルサービスがより一層求められるようになるだろう。ネットを経由した映像コンテンツの利用が増えていることに加えて、スマートフォンやタブレット端末の普及によってモバイル環境下での利用が急拡大しているためである。したがって、地方での利用環境整備とワイヤレス対応が今後のブロードバンド普及ための鍵と言えるだろう。

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