■ 仙台震災発生直後の顧客満足度は音声通話・データ通信ともに大幅下落。
■ 東北・首都圏ともに通話品質崩壊でユーザーの不満が爆発。
■ 震災3か月後(6月時点)には、ほぼ震災前の満足度水準に回復。
■ auユーザー、ソフトバンクユーザーの2割が震災後にキャリア変更を検討。
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は7月1日、震災後の携帯電話およびスマートフォンの電波満足度に関するユーザー調査の結果をまとめた。
この調査は、2011年6月上旬に実施した東日本エリアにおけるWebアンケート調査の結果を、東日本大震災前後の差異という切り口でまとめて分析したものである。
この結果、満足度を数値化すると、全体的に東日本大震災発生前の満足度が最も高く、これが震災発生直後に大きく落ち込み、現在(6月上旬)はほぼ震災発生前の水準まで回復する傾向を示した。
東北と首都圏という2つの地域で分類してみると、震災発生前と現在の数値には、大きな地域特性は見られなかった。だが、震災発生直後の満足度については、首都圏と比べて東北の数値が明確に低くなっており、地域差が生じた。東北地方を中心として、震災によって携帯電話インフラが甚大なダメージを受け、回線状況がひっ迫してユーザーが大きな不満を感じていたこと、そして現在は携帯電話キャリア各社の復旧努力により、その不満もほぼ解消していることが読み取れる。
また、「東日本大震災を主な原因として、携帯電話キャリアを変更する意向」について聞いたところ、NTTドコモユーザーは「変更を検討したいと思わない」が94.3%と、変更検討意向者数が最も少なかった。これに対してauユーザーは同78.8%、ソフトバンクユーザーは同79.3%となり、キャリアを既に変更したり、変更を検討したいと考えているユーザーが相対的に多い結果となった。また、キャリア変更(検討)の理由については、「震災直後の電波状況が不満だったから」がどのキャリアにおいても最多となった。一方で、auユーザーは「他社の携帯電話端末に変更したいから」、ソフトバンクユーザーは「震災に関係なく電波状況が不満だから」を挙げるユーザーが多い点が目立った。ソフトバンクについては、弊社が5月下旬に実施したスマートフォン電波実測調査でも、3キャリアの中で最も遅い速度を記録しており、結果に相関が見られる。
今後もICT総研では、震災後の満足度の変化など、ユーザー視点での携帯電話インフラ復興状況に着目し、定点観測していく方針である。