2011年度 パーソナルクラウドサービスの利用意向調査

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■ ユーザー満足度はGoogleが無料版・有料版ともに1位
■ 無料ストレージサービスDropboxもユーザーから高い支持
■ 23%がアップルiCloudの利用を検討中、ストレージサービスに高い関心
■ 利用者は2015年度に5,600万人、有料サービス市場規模は574億円へ

 株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は10月4日、2011年度のパーソナルクラウドサービスの利用意向に関する調査結果をまとめた。

■ ユーザー満足度はGoogleが無料版・有料版ともに1位、Dropboxも高い支持

 インターネットを利用したオンラインストレージ、webメール、ドキュメント・コンテンツ管理ツールなどのパーソナルクラウドサービスはこの数年間で急速に普及してきた。ICT総研が実施した調査分析結果では、2010年度末(2011年3月末)時点の利用者数は1,472万人、そのうち有料サービス利用者は232万人に達している。米国系企業がいち早くサービスを開始したクラウドサービスは日本国内でも普及しており、Google、マイクロソフト、アップル、Evernote、Dropboxなどが認知度・利用度ともに高いシェアを保っている。
 インターネットユーザー5,600人を対象に実施したwebアンケート調査において、パーソナルクラウドサービスの利用者は、Googleが16.4%、マイクロソフトWindows Live 14.2%、Evernote 6.3%、Dropbox 5.6%、アップルMobileMe 4.6%であった。
 パーソナルクラウドサービス利用者の満足度を見ると、Googleの無料版クラウド利用者は68.1ポイント(100点満点)、有料版クラウド利用者も60.1ポイントと最も高い満足度を示している。オンラインストレージサービスを提供するDropbox無料版の満足度は、63.3ポイントとGoogleに次いで2位となった。ただし、Dropbox有料版の満足度は52.9ポイントで無料版に比べて低い結果となっている。この他、メールサービスHotmailやストレージサービスSkyDriveを提供するマイクロソフトのWindows Live無料版の満足度は62.9ポイント、Evernote無料版は57.1ポイントという結果だった。アップルのMobile Meは有料版サービスしかなく満足度は53.7ポイントにとどまる。

■ 23%のネットユーザーがアップルiCloudの利用を検討中

 アップルはMobile Meのパーソナルクラウドサービスを全面的に刷新し、iCloudサービスを開始する。ネットユーザー5,600人へのアンケート結果によると、iCloud有料サービスの利用を検討しているのは2.6%、無料版サービスで20.1%に達した。これはサービス開始前の利用意向としては高い値であり、アップルの新サービスへの高い期待感を示している。無料版サービスも含めての利用意向で見れば、iCloudには日本国内だけで1,000万人を超える潜在ユーザーが存在すると想定される。
 iCloudのサービスのうち、5ギガバイトまで無料で利用できるストレージサービスには多くのユーザーが興味を示している。クラウドサービスを利用したことのある1,000人へのアンケート調査では、31.6%が無料ストレージサービスの利用を検討すると回答している。
 iCloudでは、これまでiTunesユーザーがパソコンごとに管理してきた音楽などのコンテンツをiPhone、iPad、パソコンなど複数の端末で同時に管理できるようになる。中でも年間利用料24.99ドルの有料サービスとなるiTunes Matchは、アップルのデータセンターを通じてコンテンツを視聴できる本格的な音楽クラウドサービスとして注目を集めている。ユーザーのコンテンツ管理は、これまでパソコンを中心に行われてきたが、スマートフォンやタブレット端末の普及が進む中で、このようなクラウドサービスのニーズはさらに高まるだろう。

■ パーソナルクラウドサービス利用者は2015年度に5,601万人へ

 2010年度末(2011年3月末)のパーソナルクラウドサービス利用者は1,472万人、そのうち有料サービス利用者は232万人である。2011年度の利用者総数は33%増の1,965万人、2015年度には2010年度比3.8倍の5,601万人に達する見通しだ。利用者の増加に伴い、有料サービスの市場規模も大幅に拡大する。2010年度は126億円だが、2011年度に194億円、2015年度には574億円に達する。
 利用者が拡大する背景には、スマートフォンやタブレット端末の普及、固定系ブロードバンド回線やモバイルデータ通信の高速化が影響している。多くのユーザーが複数の情報端末を持ち歩くようになり、自宅やオフィスでのデジタル環境をどこでも同じように利用したいというニーズが高まっている。このニーズに応えるために、サービス事業者は巨大なデータセンターを運用するようになり、高速ネットワークを通じて提供することになる。
 これまでは、ハードウェア(端末)とソフトウェア(アプリ)の優劣がICT市場を制してきたが、クラウド時代に移行する過程では、膨大な情報を処理するデータセンターの能力、高速データ通信を提供できるネットワークインフラの重要性が増している。Google、マイクロソフト、アップルなど米国の大手ベンダーはこの分野に多額の投資を行い、パーソナルクラウド市場の覇権獲得に向けて様々なサービスを提供して行く見込みだ。

*パーソナルクラウドサービスの定義:主に個人向けに提供されるオンラインストレージ、webメール、コンテンツ管理サービスなど。音楽・動画などのデジタルコンテンツ、システム開発、プラットフォームの提供サービスは含まない。
*この調査はクラウドサービス事業者、関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー5,600人へのwebアンケート調査の結果をまとめて分析したものである。
*アンケート調査時点(2011年8月末)において、Yahoo!ボックスのサービス内容は公開されていなかったため、ユーザーの利用意向に反映されていない。

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