2011年度 SNS利用動向・広告活用状況に関する調査

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■ 日本のSNS利用者は4,289万人(普及率45%)、2014年末に5,643万人へ
■ 利用者満足度1位はツイッター、アクティブユーザーの多いミクシィ
■ 64%の利用者が毎日SNSを利用しているが、20%はほとんど利用なし
■ SNS広告を購入の参考にする利用者は15%、33%が広告を見ていない
■ エンドユーザー課金モデルで成功を収めたモバゲー、グリー

■ 日本のSNS利用者は4,289万人(普及率45%)、2014年末に5,643万人へ

 SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の多くは、利用者登録さえすれば無料でサービスが利用できるものが多いため、その利用者は年々増加の一途を辿っている。2011年12月時点の国内ネットユーザーは9,510万人に達しているが、SNS利用者はそのうちの45%にあたる4,289万人となった。前年末の3,671万人から618万人増加しており、毎月50万人以上がサービスを開始していることになる。

 SNSの大半は無料登録できることから、複数のSNSに登録を行う利用者も多く、その登録総数は重複登録分も含めると2011年末で1億5,715万件となる。国内の3大SNSと言われるモバゲー(運営会社DeNA)、グリー、ミクシィはそれぞれ2,500万縲鰀3,000万件以上の登録者を保有しており、3社だけで約9,000万件近い登録者数となる。これに対して、海外系事業者であるツイッター、フェイスブック、グーグル+、Ping(アップル)も日本国内で利用者を急増させており、その登録総数は3,000万件を超える。
 今のところ、日本市場では国内系事業者によるサービスが優勢だが、海外勢の日本向けサービスが活発化していることも影響し、今後数年間は利用者が急増していくことは確実な情勢だ。ICT総研が実施したアンケート結果や、取材情報に基づく需要予測では、2014年末には登録総数で2億5,000万件を突破、利用者数は5,643万人、ネット利用者の中の普及率は59%に達するものと推定される。

■ 利用者満足度1位はツイッター、アクティブユーザーの多いミクシィ

 ICT総研が実施したアンケート調査では、主なSNSのうちツイッターのサービスに対する顧客満足度が60.7ポイントでトップだった。利用者登録が比較的容易で、140文字の限定されたツイート(つぶやき)によりコミュニケーションを図るシステムは日本のケータイ文化にもマッチしており、利用者にとっては完全無料サービスであることも満足度が高い要因となっている。
 ミクシィは、ユーザー間の情報交換を中心とするシステムで、いわゆるコミュニケーション系のSNSとしては代表的なサービスである。アンケート調査では、ミクシィを利用していると回答した人は1,725件と最多で、同サービスのアクティブユーザーが多いことが確認された。コミュニケーション系サービスは、一度使い始めると友人・知人との交流を絶やさないよう長期にわたって利用する特徴がある。日本国内で早い時期にサービスを開始したミクシィは、友人・知人間のつながりを連鎖的に拡大させて利用者数を増やしている。
 これを追うのがフェイスブック、グーグル+などの海外勢で、顧客満足度も高く利用者を急増させている。ただし、アップルのPingは満足度も低い傾向で、利用者もあまり伸びていない。
この他、ゲーム系SNSではモバゲーの満足度が高い結果となった。

■ 64%の利用者が毎日SNSを利用しているが、20%はほとんど利用なし

 SNSを利用したことのあるアンケート回答者のうち、1日に10回以上SNSを利用している人は15.1%、1日5回以上が16.8%、1日1回以上が32.2%であった。つまり、ほぼ毎日SNSを利用する人が全体の64%を占める。このことはSNSが多くの利用者の中で定着し、ほぼ日常的にサービスを使いこなしていることを示している。しかし、その一方で登録したにも関わらずほとんど利用しない人も20%ほど存在しており、アクティブユーザーとそうでない人の差も浮き彫りとなっている。また、そもそもネットユーザーの中で将来にわたってSNSを利用しないと考えている人も34%ほどいるため、将来的な普及率はネットユーザーのうちの6割強にとどまる見込みだ。

■ SNS広告を購入の参考にする利用者は15%、約33%が広告を見ていない

 日本ではエンドユーザー課金がSNS事業の中心を占めているが、世界的に見ればSNS広告収入の有無がサービスの拡充をもたらし、普及を推進する要因となっている。
 SNS利用者の広告活用状況についてのアンケートでは、SNS広告を商品購入の参考にしていると回答した人が15%を占めた。このうち、1日1回以上SNS広告をクリックするという回答者(ヘビーユーザー)が4.4%、週に1回以上クリックするという回答者が10.8%となっている。SNS広告をクリックするが、あまり購入動機に影響しないという回答者は19.8%、クリックしないが表示される広告を見ている回答者が31.8%となった。これらの回答者を合計すると、何らかの形でSNS広告を見ている人が全体の3分の2、SNS広告を見ていない人が3分の1という結果となった。
 今後は、SNS広告をさらに使いやすいものに改善して、広告市場を拡大させることがコミュニケーション系SNSの普及につながっていくものと思われる。

■ エンドユーザー課金モデルで成功を収めたモバゲー、グリー

 フェイスブックは日本市場ではサービス開始が遅かったため、ミクシィと比べて利用者が少なかったが、ここへ来て急速に登録者数を増大させている。日本国内のフェイスブック利用者は既に1,000万人を突破し、さらに増大を続けている。日本や中国、ロシアなどでは各国の国産SNSが優勢だが、フェイスブックはこれらの国でも勢力を拡大しつつあり、この勢いはしばらく続く見込みだ。後発のグーグル+も登録者数を急増させており、海外系SNSと国内SNSの利用者獲得競争が激化してきた。2009年末時点では、SNS登録総数に占める海外系SNSのシェアは約14%程度だったが、2011年末には25%にまで増えている。また、世界に1億3,500万人に利用者を有するLinkedIn(リンクトイン)はビジネス市場に特化したSNSで、この10月から日本市場に本格参入を開始したことも注目を集めている。

 海外系SNSが徐々に勢力を伸ばしていく中で、日本市場ではゲーム系SNSが日本独特のビジネスモデルで大成功を収めている。SNSのビジネスモデルを大きく分けると、①広告モデル、②ユーザー課金モデル、③プラットフォーム提供モデルに分類される。①は広告主から、②はエンドユーザーから、③はコンテンツ開発会社・プロバイダーなどから収入を得るビジネスモデルである。海外系SNSの多くは①の広告収入と③のプロバイダーからのプラットフォーム提供手数料収入で事業を成功させてきたが、エンドユーザーから直接収入を得ることは難しいというのがSNSの常識とされてきた。これを打ち破ったのが、日本のモバゲー、グリーによる成功である。両社は携帯電話端末を中心としてユーザーを急増させ、それぞれ3,000万人規模の登録者を抱えている。これらの利用者がゲームを進行させるために数十円から数百円のアイテムを購入し、SNS運営会社に直接料金を支払うという形態は、海外のSNSではあまり普及していない。モバゲーやグリー、さらにアメーバビグ(運営会社:サイバーエージェント)など日本のSNS運営会社は、海外企業との事業連携を進めており、日本型のSNSビジネスモデルを海外でも普及させる戦略をとっている。
広告モデルを中心に日本市場に攻め込む海外系SNSと、日本での成功を武器に世界進出を加速させる国内SNSの競争により、国内外のSNS市場はさらに活性化しそうだ。

【本資料の調査結果・推計データについて】
※この調査は、SNS運営会社、関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー5,600人へのwebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものである。
※本資料におけるSNSとは、不特定多数のネットユーザー間の交流を促進する商用サービスとして定義しており、狭義のSNS(友人知人間のコミュニケーション交流サービス)と比べて広義のSNSとなっている。
※本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
※本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。

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