2012年10月 ビジネスシーンでのスマートフォンつながりやすさ実測調査

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■ 総合ポイントはauが音声997.6、データ通信927.5。ともに僅差でトップ。
■ NTTドコモは都心部のデータ通信に安定感を欠くも、音声通話では強み。
■ ソフトバンクは高速道路や高層ビルで苦戦も、電車内データ通信が安定。
■ イー・モバイルは高層ビルで厳しい結果も、電車内は他社に劣らず。

 株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は10月10日、ビジネスシーンでのスマートフォンつながりやすさ実測調査の結果をまとめた。当社で定期的に実施している通信速度に重点を置いた定点的な調査を補完すべく、面的なエリアカバー状況の実態を把握することを目的としている。5月28日に発表した「スマートフォン つながりやすさ・切れにくさ実測調査」と測定方法は同様だが、地下鉄やモノレール、高層ビルでの測定を加えるなど、できるだけユーザーがビジネスで利用すると思われるシーンで測定することを心掛けた。調査期間は、10月1日から5日まで。
 調査手法は次のとおり。「電車移動中の切れにくさ」、「高速道路移動中の切れにくさ」については、音声通話もしくはデータ通信をつなぎっぱなしにした際に、接続成功していた時間の割合を示した。音声通話については時報(117)、データ通信についてはライブ配信サイト「USTREAM」につなぎっぱなしにして、途切れた時間を測定し、調査時間全体(100%)から減じることで接続成功時間の割合を示した。もちろん、電車内では音声による会話はしていない。時報への接続状況を画面で確認する手法を採っている。
 「電車移動中の切れにくさ」のうち、「山手線」、「大阪環状線」、「名古屋市営地下鉄」については、混雑時間帯の状況を測定すべく、17時~21時の間に実施した。それ以外の電車や高速道路については、10時~17時の間に測定した。「高層ビルにおけるつながりやすさ」については、丸の内、新宿の高層ビル20地点で各5回ずつ、計100回にわたり接続を試行した際の接続成功率を示した。ビジネスでの利用という点から考え、10時~17時の時間帯に測定した。

■ 総合ポイントはauが音声997.6、データ通信927.5。ともに僅差でトップ。

 実測の結果、ビジネスシーンでのつながりやすさが全体的に最も良好だったのはauであった。電車移動中、高速道路移動中、高層ビルの全ての実測結果を合計した総合ポイントが、音声通話 997.6ポイント、データ通信 927.5ポイントと、ともに最も高かった。また、どの利用シーンでも3位以下となることがなかった。とくに、混雑時間帯の3大都市圏の基幹電車(山手線、大阪環状線、名古屋市営地下鉄)や首都高での音声通話ではトップの値を記録するなど、ビジネスシーンで重要視される音声通話の安定感が光った。また、こちらもビジネス利用ニーズが高い都心部高層ビルでは、NTTドコモと並んで音声通話接続成功率100%、データ通信成功率98%ともにトップ。早くからプラチナバンドを整備してきたことによる強みを見せた。

■ NTTドコモは都心部のデータ通信に安定感を欠くも、音声通話では強み。

 NTTドコモは音声通話の総合ポイントでは996.8ポイントと、トップに並ぶ結果を残したが、データ通信の総合ポイントでは3位の885.4ポイントに終わった。全体的に、電車移動中のデータ通信では途切れることが目立ち、とくに混雑時間帯の山手線のデータ通信では、混雑時間帯の接続成功時間の割合が56.2%と、厳しい結果となった。都心部でのトラフィックの急激な増加に、ネットワーク側の対応が追い付いていない可能性が考えられる。一方で、東名高速や中央道などの高速道路については、音声通話、データ通信ともにトップの値を記録。郊外でも、接続状況は常に安定していた。また、ビジネスで重視される音声通話では全体的に非常に良好な結果を記録。高層ビルでも、音声通話接続成功率100%、データ通信成功率98%とトップの値を記録するなど、ビジネス利用での使い勝手の良さを見せた。

■ ソフトバンクは高速道路や高層ビルで苦戦も、電車内データ通信が安定。

 ソフトバンクモバイルは、総合ポイントで音声通話が976.2ポイントで3位、データ通信が899.7ポイントで2位という結果に終わった。とくに高速道路では音声通話、データ通信いずれも3位に甘んじるなど、苦戦を強いられた。高層ビルについても、音声通話は接続成功率98%とNTTドコモ、auと遜色ないが、データ通信では87%とやや差を付けられた。一方で、混雑時間帯の山手線データ通信では接続成功時間の割合が94.5%と、NTTドコモ、auに大きく差を付けてトップ。他社が接続不可状態を重ねた山手線西側エリアでも快適に動画視聴を続けられた。また、銀座線・丸ノ内線でも100%接続成功、大阪環状線でもトップの接続成功時間を記録するなど、全体的に電車内でのデータ通信で安定した傾向を見せた。

■ イー・モバイルは高層ビルで厳しい結果も、電車内は他社に劣らず。

 イー・モバイルについては、今回の調査では「移動中の切れにくさ」の測定は音声通話のみとした。「高層ビルにおけるつながりやすさ」については音声、データ通信ともに実施したが、音声通話接続成功率75%、データ通信接続成功率71%と厳しい結果となった。もちろん、面でのエリアカバーは進んでいるものの、高さに対応できていない部分が垣間見えてしまった。一方で、電車移動中の音声通話の切れにくさについては、大阪環状線で接続成功時間の割合が100%を記録したことに代表されるように、他社と比較しても劣らない結果を残した。

■ 今後、LTE化による速度向上だけでなく、さらなるつながりやすさの向上に期待。

 本調査では、電車や高速道路での移動中、高層ビルなど、ビジネスでの利用という視点でさまざまなシーンでの電波状況を実測した。結果的に、携帯電話キャリアにとって整備しにくい厳しい利用シーンばかりだ。今回調査では東京メトロ(銀座線、丸の内線)、名古屋地下鉄のトンネル内での移動中の切れにくさを調査対象に加えたが、地下鉄トンネル内のエリア化は順次進んでおり、今後利用可能エリアが大幅に拡大する見込みである。インフラ増強を主目的としてソフトバンクがイー・アクセスの買収を発表するなど、トラフィックが急増する中での各キャリアのネットワークインフラ整備への注力ぶりが目立つ。携帯電話キャリアには、LTE化による通信速度向上だけでなく、利用可能シーン・エリアの拡大を今後ますます期待したい。

* 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、調査実施時点の実測データである


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