■ auが、「受信エリアの広さ」で97.8%とトップ。特に郊外路線で強み。
■ NTTドコモは、「切れにくさ」で95.9%とトップ。受信エリアの広さも次点。
■ ソフトバンクは広さ、切れにくさで苦戦するも、LTE比率でトップ。
■ イー・モバイルは、混雑時間帯の山手線など、局地戦で強さを見せる。
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は1月7日、電車移動中のスマートフォンつながりやすさ実測調査(関東編)の結果をまとめた。当社では過去にさまざまな利用シーンでの通信速度やつながりやすさの実測調査を実施しているが、今回の調査では「電車移動中のつながりやすさ」に焦点を絞った。関東エリアの1都6県をカバーする11路線の電車について、合計15時間48分にわたる実測調査を実施することで、「受信エリアの広さ」(圏内時間比率)、「切れにくさ」(音声通話接続維持率)という指標で携帯電話キャリアの現状を比較した。調査期間は2012年12月10日~14日の日中時間帯。ただし、山手線については、混雑時間帯の状況も把握するため、18~19時台にも測定した。
測定にあたっては、スマートフォンの電波圏内であるか否か、及び音声通話の接続成功時間を自動カウントするツール(専用に開発したもの)を利用した。
■ auが、「受信エリアの広さ」で97.8%とトップ。特に郊外路線で強み。
実測の結果、受信エリアの広さでは、auが97.8%でトップとなった。関東11路線での合計測定時間15時間48分34秒のうち、電波を受信できた時間が15時間27分39秒と、他社(NTTドコモ 15時間16分、ソフトバンク 15時間14分、イー・モバイル 15時間10分)を上回った。auは、東海道線(東京~湯河原)、東北本線(大宮~黒磯)、総武本線(東京~銚子)、中央本線(新宿~小淵沢)、上越線・吾妻線(上野~万座鹿沢口)など郊外へ続く路線で特に強みを見せた。切れにくさでも、トップと0.8%差の95.1%と、安定した結果を残した。一方で、auはLTEエリアであると思われる場所にて、 いったんCDMA1X(アンテナ〇表示)へ移行してしまうと、LTEへ復帰しなくなる現象が何度か確認された。
■ NTTドコモは、「切れにくさ」で95.9%とトップ。受信エリアの広さも次点。
次に、「切れにくさ」では、NTTドコモが95.9%でトップとなった。合計測定時間15時間48分34秒のうち、音声通話を続けられた時間が15時間9分26秒と、他社(au 15時間2分、ソフトバンク 14時間57分、イー・モバイル 15時間5分)を上回った。この項目では、都心部の路線、郊外の路線にかかわらず、11路線中8路線でトップとなり、音声通話品質の安定ぶりを見せた。同社は受信エリアの広さでも96.6%で次点に付けており、つながりやすさという観点では底力を見せている。だが一方で、受信エリア内でのLTE比率については、トップのソフトバンクと比較すると、整備途上である様子が見受けられた。
■ ソフトバンクは広さ、切れにくさで苦戦するも、LTE比率でトップ。
ソフトバンクモバイルは、受信エリアの広さではトップと1.4%差の3位、切れにくさではトップと1.2%差の4位と、つながりやすさを主眼に置いた今回の調査では苦戦を強いられた。プラチナバンド化によるエリア改善の効果もあると見られるが、プラチナバンドで先行する他社との時間の差を完全には埋めきれていない様子。一方で、同社が注力するLTEについては、測定時間におけるLTE比率でトップの結果を残した。11路線中7路線でトップであり、LTEネットワークの充実ぶりを証明した。
■ イー・モバイルは、混雑時間帯の山手線など、局地戦で強さを見せる。
イー・モバイルは、受信エリアの広さではトップと1.8%差の4位と苦戦を強いられた。しかし、切れにくさではトップと0.5%差の2位と善戦。また、混雑時間帯の山手線では、受信エリアの広さ、切れにくさともにトップとなるなど、局地戦で強さを見せた。その他にも、日中の山手線、大江戸線、埼京線などでトップとなった。郊外よりも都心部の路線で安定している傾向が見られる。
今回調査では、auとソフトバンクのAndroid向けLTE受信可能端末を対象としなかった。だが、厳密に比較するためには同端末も対象とすべきだと考えている。近日発売される見込みのイー・モバイルのLTE受信可能スマートフォンと併せて、次回以降の調査で検討したい。
ICT総研では今後も、「つながりやすさ」や「通信速度」というそれぞれの側面について、ユーザーが利用するさまざまなシーンを想定し、携帯電話・スマートフォンユーザーの指標となる実測データを提供していく方針だ。
【本資料の調査データについて】
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、調査実施時点の実測データである。周囲の環境などの各種条件により、実測結果は変動する。



