■ 日本のSNS利用者は4,965万人(普及率52%)、2015年末に6,321万人へ
■ スマホユーザーのLINE利用率は54%、フェイスブック47%、ツイッター35%
■ 利用者満足度1位はスカイプで75.9ポイント、2位はLINEで74.6ポイント
■ LINE利用者の54%がほぼ毎日利用、フェイスブックとツイッターも高い利用頻度
■ SNSの価値はコミュニケーションの利便性だが、様々な弊害も目立つ
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は5月30日、SNS利用動向に関する調査結果をまとめた。
■ 日本のSNS利用者は4,965万人(普及率52%)、2015年末に6,321万人へ
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、無料のコミュニケーションツールとして普及しており利用者が急増している。2012年12月末時点の国内ネットユーザーは9,556万人だが、SNS利用者はそのうちの52%にあたる4,965万人となった。2012年の年間純増者数は676万人で、1ヶ月平均56万人の利用者が増加した。
SNSの大半は無料登録できることから複数のSNSに登録を行う利用者も多く、国内における登録総数は重複登録分も含めると2012年末で2億2,000万件を超える。したがってSNS利用者1人あたり平均で4.5件のSNSに登録していることになる。今後はSNS利用者の年齢層が拡大していくため、登録者数・利用者数ともに増加することが見込まれ、3年後の2015年末には利用者数が6,321万人、ネットユーザー全体に占める利用率は65.3%に達する見通しである。

■ スマホユーザーのLINE利用率は54%、フェイスブックは47%、ツイッター 35%
ICT総研が2013年5月に実施したアンケート調査では、12,000人のアンケート対象者のうち約55%が何らかのSNSや通話・メールアプリを利用していると回答した。全回答者の中で最も利用率が高かったのはフェイスブックで34%、次いでLINEが27%、ツイッターが26%、mixiが22%、スカイプ16%となっている。ただし、これをスマートフォンのユーザーに限ると、LINEの利用率が54%でトップ、フェイスブック 47%、ツイッター 35%、mixi 29%、スカイプ 22%となる。フェイスブックやツイッターが元々パソコンのインターネットユーザーを中心に普及してきたのに対し、LINEはスマートフォンのユーザーを中心に利用されてきた違いが現れている。フェイスブックやツイッター、mixi、スカイプも近年スマートフォン対応アプリに注力しており、スマートフォンの普及とともに利用者を増やしそうだ。
また、LINEと同様のサービスを展開するカカオトークやDeNAのcommも今のところ利用率が低いものの、スマホユーザーに特化したサービス展開を行うことで徐々に利用者を増やしている。

■ 利用者満足度1位はスカイプで75.9ポイント、2位はLINEで74.6ポイント
SNSや通話・メールアプリユーザーの利用者満足度を見ると、スカイプの満足度が最も高く75.9ポイント、次いでLINEが74.6ポイントだった。3位はカカオトークで71.8ポイント、4位はツイッターで71.2ポイント、5位はGoogle+で69.8である。以下、comm、mixi、フェイスブックと続いている。
アンケートにおける利用者満足度は、「サービス内容・品質」、「使いやすさ・わかりやすさ」、「料金 (コストパフォーマンス)」、「セキュリティ」の4項目と、その平均値である総合満足度を指標とした。スカイプは「料金」、「セキュリティ」の2項目における満足度が非常に高く、総合満足度で1位となった。LINEは「サービス内容」、「使いやすさ」、「料金」の3項目では高い評価が得られたが、「セキュリティ」に関する満足度が低く総合満足度では2位となった。フェイスブックは「料金」の評価はまずまずだったが、その他の項目の満足度が全般的に平均値を下回り、特に「セキュリティ」の評価が低かったことが影響した。また、mixiも全ての項目が平均値を下回っている。

■ LINE利用者の54%がほぼ毎日利用、フェイスブックとツイッターも高い利用頻度
SNSの利用頻度についての回答では、比較的利用頻度の高いサービスはLINE、フェイスブック、ツイッターである。LINE利用者の54%が「ほぼ毎日」利用すると回答している。
「ほぼ毎日」と「1週間に数回」を合わせた比率で見ると、LINE利用者のうちの81%がこれに該当し、フェイスブック利用者では74%、ツイッター利用者で62%となる。
逆に利用頻度の低いものは、スカイプ、Google+、mixiである。SNSの場合、知人や友人などの利用者が多くなるにつれて自分も利用する頻度が増えるため、利用者数の多いLINEやフェイスブックなどの利用頻度が高くなっていると思われる。

■ SNSの価値はコミュニケーションの利便性だが、 一方で様々な弊害も目立つ
SNSや通話・メールアプリの利用者がサービスに対して持っている印象について、「無料で利用できる」と回答したユーザーは75%だった。また、コミュニケーション時の利便性を評価するユーザーも多かった。SNSについての好意的な意見がある一方で、その弊害や課題を指摘するユーザーも目立つ。
「実名やプライバシーの流出が不安」と回答したユーザーは29%、「交流したくない人との連絡がつらい」という回答も20%に達している。SNSには、多くの人と交流ができ、コミュニケーションが活発化するという利点がある反面、コミュニケーションを面倒に感じたり傷付いたりする負の側面も見られる。いわゆる「SNS疲れ」と呼ばれる現象である。
SNSはネット社会に生きる現代人にとって必須のツールとも言えるが、使い方次第では様々な弊害も生じている。SNSの快適性を高め、より広く普及させるためには、プライバシーの流出や誹謗中傷などを防ぐためのルール作りや、セキュリティシステムの向上がSNS運営事業者に求められるのではないだろうか。
これらの課題を克服することでSNSの需要が高まり、市場規模は今後もさらに拡大していくことが予測される。

【本資料の調査結果・推計データについて】
* この調査は、SNS関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー12,000人へのwebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものである。
* 本資料におけるSNSとは、不特定多数のネットユーザー間の交流を促進する商用サービスとして定義しており、狭義のSNS(友人知人間のコミュニケーション交流サービス)と比べて広義のSNSとなっている。
* 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
* 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。