2013年度 電子書籍コンテンツ市場の需要予測

データ販売無し

■ 2016年度の電子書籍コンテンツ市場は1,850億円に (2011年度比2.8倍)
■ 電子書籍閲覧端末の出荷台数は、2015年度に1,000万台を突破。
■ 電子書籍ストアの利用率は、利用者が分散するも楽天「kobo」が僅差でトップ。
■ 電子書籍ストアの満足度は大きな差は見られないが、「honto」が僅差でトップ。

 株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は6月26日、2013年度電子書籍コンテンツ需要予測に関する調査結果をまとめた。本調査における「電子書籍閲覧端末」には、「電子書籍専用端末」と「タブレット端末」を含むものと定義する。

■ 2016年度の電子書籍コンテンツ市場は1,850億円に (2011年度比2.8倍)

 2012年度の電子書籍コンテンツ市場は729億円となり、1年前時点での弊社の市場予測744億円を若干下回った。当初期待されていたよりも普及ペースが遅れていたが、2013年度以降は、タブレット端末の普及ペースが想定されていたものよりも早く、電子書籍ストアの整備もさらに進むことにより、拡大は加速する見込み。電子書籍コンテンツ市場全体で、2013年度に1,050億円(2011年度比1.5倍)、2016年度には1850億円(同2.8倍)に達すると見込まれる。従来型携帯電話向けの市場の落ち込みを、スマートフォン・タブレット・電子書籍専用端末向けが補完する市場構造となる。

■ 電子書籍閲覧端末の出荷台数は、2015年度に1,000万台を突破。

 次に、電子書籍閲覧端末に目を移すと、出荷台数の好調ぶりが光る。従来売れ筋だった10インチクラスのタブレットに加え、iPad mini、Nexus7、Kindle Fire HDなど、7インチタブレットのラインナップが充実したことによりタブレット端末の出荷台数が大きく増加。これに下支えされ、電子書籍閲覧端末は、2012年度 前年比1.8倍の549万台を記録した。そのうち電子書籍専用端末の構成比は11%にすぎない。しかし、Kindle paperwhiteや楽天のコボタッチなど注目を浴びた端末もあり、電子書籍専用端末だけ見ても、前年比2.3倍の60万台と順調に出荷台数を伸ばした。今後もタブレット端末が市場を牽引する形は変わらないものの、右肩上がりに増加を続け、2015年度に電子書籍閲覧端末の出荷台数は1,010万台と1,000台を突破。2016年度には1,133万台(2011年度比3.8倍)に達する見込み。
また、スマートフォンが大画面化してきたことにより、スマートフォンを利用して電子書籍を読むユーザーも増えており閲覧端末の選択肢は広がる傾向にある。

■ 電子書籍ストアの利用率は、利用者が分散するも楽天「kobo」が僅差でトップ。

 インターネットユーザー12,000人に、幅広く電子書籍ストアの利用有無を尋ねたところ、電子ブック楽天「kobo」が利用率2.5%でトップとなった。アマゾンのKindleストアが2.1%、アップルの「iBookstore」が1.4%でこれに続いた。その他の電子書籍ストアは利用率1%以下が大勢を占める結果となり、電子書籍ストアが乱立して利用者が分散している実態が明らかになった。参考情報として同じ回答者に質問した電子新聞の利用率と比べても、その利用率の低さが際立つ。電子書籍ストアは現在、電子書籍メーカー、書店、コンテンツ事業者などさまざまなプレーヤーがそれぞれのやり方で展開しているが、書籍の取扱点数も十分でなく、ストアごとの専門性(強み)も分かりにくい。今後は、よりユーザーにとって使いやすいストアに収れんしていく必要があるだろう。
 また、電子新聞に関しては、全国紙を中心に一部コンテンツの有料化が進んでおり、徐々に登録会員数も伸びている。電子書籍とともに新聞の電子化も進んで行き、紙媒体での購読部数は減少することになりそうだ。

■ 電子書籍ストアの満足度は大きな差は見られないが、「honto」が僅差でトップ。

 電子書籍ストアの利用者に、各ストアの満足度を尋ね、100点満点換算すると、「honto」が75.3ポイントでトップ、「eBookjapan」と「DMM Books」が74.3ポイントでこれに続いた。「honto」は、大日本印刷、NTTドコモ、丸善などが展開する電子書籍ストアであり、コンテンツや書店で蓄積したノウハウを生かしたストア作りが特徴的。だが、トップの「honto」と12位の「Reader Sore」を比較してもポイント差は6ポイントしかなく、大きな差であるとは言えない。ユーザーが現在利用している電子書籍ストアに不満を持っているとまでは言えないが、どれか1つのサービスを選択する決定的な動機もない状態だと言えそうだ。
 2012年度の書籍・雑誌(紙媒体)の推定販売金額が前年比3.6%減の1兆7,398億円にまで落ち込むなど、出版不況は回復の兆しを見せていない。書籍の電子化には、もちろん課題も山積するが、「絶版本がなくなる」、「目的とする記述の発見が容易になる」、「物流コストが下がる」、「在庫・返品リスクがなくなる」等、メリットを訴求することで、電子書籍市場のさらなる盛り上がり、市場規模の拡大に期待したい。

【本調査における定義】
*電子書籍コンテンツ ・・・ デジタル化された書籍、コミック、雑誌を含めるが、新聞は除くものと定義。
*電子書籍閲覧端末 ・・・  タブレット端末と電子書籍専用端末を合算したものと定義。
*電子書籍専用端末 ・・・ インターネットに接続可能で、電子書籍閲覧を主目的として設計された端末。

【本資料の調査結果・推計データについて】
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。

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