■ 同業種内で総合満足度の格差が大きいのは、「サービス」、「移動通信」、「食品」、「小売」。
■「サービス」トップはヤフー(358.5pt)。「情報量の適切さ」、「HP全般の満足度」などで支持。
■「移動通信」トップはソフトバンクモバイル(360.1pt)。「到達性」、「デザイン」などで高評価。
■「食品」トップは山崎製パン(383.4pt)。「到達性」、「内容の分かりやすさ」などで高ポイント。
■「小売」トップはファーストリテイリング(341.5pt)。「到達性」、「メニュー構成」などで差別化。
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は7月23日、2013年度の企業ホームページ満足度調査の結果をまとめた。13業種52社の企業ホームページに対する17,783件のWebアンケート結果を集計・分析したものである。調査実施期間は2013年7月5日から8日まで。
■ 同業種内で総合満足度の格差が大きいのは、「サービス」、「移動通信」、「食品」、「小売」。
この調査では、「個人向けの主力商品・サービスを持つ企業」を13業種52社ピックアップし、その商品・サービスを紹介する各企業のホームページのユーザビリティや満足度を、Webによるユーザーアンケートの形で収集した。業種については、個人の利用頻度・利用率がある程度高いと考えられる13業種を抽出。当社の調査・研究領域である「通信」と「電機」については、やや詳細に2業種ずつ抽出した。52社については、業種内で売上高や営業利益という切り口で上位と考えられる企業を1業種あたり4社ずつ選定。1企業の業務範囲が複数の業種にまたがっている場合には、該当業種のうち1業種のみでの選定とした。また、「持株会社」、「ホールディングカンパニー」は基本的に対象とせず、実際に個人向けに事業を行っている企業を可能な限り調査対象とした。
この調査は、企業イメージや企業のWebブランド価値などについて比較するものではなく、あくまでも純粋に対象企業のホームページのユーザビリティ・利用満足度に焦点を絞ってユーザー評価を比較したものである。もちろん、各企業の商品やサービス自体への評価ではない。総合満足度は700点満点である。
調査の結果、「飲料」でトップとなったサントリーが総合満足度415.8ポイントを獲得し、総合トップとなった。ただし、「飲料」は対象4社の総合満足度平均が393.8ポイントと非常に高く、業種内での企業ごとの差分が大きいわけではないことには注意が必要だ。
そこで、業種によって商品・サービスの特性やホームページでの紹介の仕方が異なることも考慮し、業種ごとの総合満足度平均とトップ企業の差分が著しい業種という視点で見る。すると、「サービス」、「移動通信」、「食品」、「小売」の4業種が該当業種として挙げられる。この中で、「サービス」では「ヤフー」(業種平均との差分+40pt)と「オリエンタルランド」(同+33.9pt)、「移動通信」では「ソフトバンクモバイル」(同+33.2pt)、「食品」では「山崎製パン」(同+31.3pt)、「小売」では「ファーストリテイリング」(同+31.2pt)の5社が、それぞれ業種平均との差分が大きい(30pt以上差を付けている)企業であると位置づけられる。
■ 「サービス」トップはヤフー(358.5pt)。「情報量の適切さ」、「HP全般の満足度」などで支持。
上記で挙げた5社のうち、ヤフーとオリエンタルランドは、「サービス」業に区分されている。「サービス」は対象4社の総合満足度平均が318.5ポイントでありながら、総合満足度トップのヤフー(358.5ポイント)と最下位のディー・エヌ・エー(249.6ポイント)の差が108.9ポイントと最も大きい業種である。次点のオリエンタルランドも「到達性」、「ページ全体の印象」ではトップのヤフーを上回る評価を見せたことで、352.5ポイントと、トップに肉薄。だが、ヤフーも、「情報量の適切さ」、「HP全般の満足度」などで高評価を得ることで、総合満足度でオリエンタルランドをかろうじて上回った。「サービス」業に該当する企業の中でも詳細の業種・業態はバラエティに富んでいる側面があり、横並びでの比較が本来困難であることも、差が開いた要因だろう。
■ 「移動通信」トップはソフトバンクモバイル(360.1pt)。「到達性」、「デザイン」などで高評価。
業種平均との差分が3番目に大きいソフトバンクモバイルは、「移動通信」業に区分されている。「移動通信」は対象4社の総合満足度平均が326.9ポイント。これは、今回調査対象とした全13業種52社の総合満足度平均330.9ポイントに近い水準である。トップのソフトバンクモバイルは総合満足度360.1ポイントを獲得。KDDIが321.7ポイントでこれに続いた。ソフトバンクモバイルは、「到達性」、「デザイン」、「メニュー構成」、「HP全般の満足度」などで高評価を得ており、どの項目でも業種内の他社を上回った。NTTドコモとは、特に「到達性」でポイント差があり、総合満足度で55.3ポイントの差を付けている。
■ 「食品」トップは山崎製パン(383.4pt)。「到達性」、「内容の分かりやすさ」などで高ポイント。
業種平均との差分が4番目に大きい山崎製パンは、「食品」業に区分されている。「食品」は対象4社の総合満足度平均が352.1ポイント。「飲料」(393.8ポイント)、「自動車」(363.4ポイント)に続いて平均が高い業種である。トップの山崎製パンは、総合満足度383.4ポイントを獲得。次点の味の素(369.9ポイント)、3位の日本ハム(361.8ポイント)も評価が高く、激戦の業種。そんな中、山崎製パンは、「到達性」、「メニュー構成」、「内容の分かりやすさ」などで高ポイントを獲得し、他社を一歩上回った。加工食品で大きな勢力を持つJT(日本たばこ産業)とは、特に「到達性」などで差が大きく、総合満足度で90.1ポイントの大差を付けている。
■ 「小売」トップはファーストリテイリング(341.5pt)。「到達性」、「メニュー構成」などで差別化。
業種平均との差分が5番目に大きいファーストリテイリングは、「小売」業に区分されている。「小売」は対象4社の総合満足度平均が310.3ポイント。今回調査対象の全52社の総合満足度平均値330.9ポイントと比べても平均は低め。そんな中、トップのファーストリテイリングは総合満足度341.5ポイントを獲得。セブン‐イレブン・ジャパンが314.9ポイントでこれに続く。ファーストリテイリングは、「到達性」、「メニュー構成」、「内容の分かりやすさ」などで業種内の他社と差を付けている。また、どの項目で見ても業種内トップとなった。ヤマダ電機とは、特に「メニュー構成」で差があり、総合満足度で63.6ポイントの差を付けている。
企業イメージや、企業のWebブランド価値などの調査は散見されるものの、企業のホームページのユーザビリティや利用満足度のみに焦点を当てた大規模調査は例が少ない。独自の評価や換算の仕組みを設けず、あくまでもユーザーアンケートの結果を単純にポイント化する手法により、ユーザーの生の声を反映できたと考えられる。ICT総研では、今後もさまざまな切り口で、ユーザーの声を収集・分析していく方針である。
*各企業の商品・サービスの利用者(利用経験者)を回答対象とした。
*各企業のトップページから主力商品・サービスのページへと実際に進んでもらう体験をしてもらった後に、7項目(到達性、デザイン、メニュー構成、情報量の適切さ、内容の分かりやすさ、ページ全体の印象、HP全般の満足度)の設問に回答してもらう形を採った。
*本資料における全ての文章、数値、表、データは、調査実施時点のものである。

