■ タブレット端末のシニア向け出荷は、2013年度83万台。2016年度には152万台に。
■ シニア世代のタブレット利用率は12.5%。30代の半分に留まるも、今後は増加の傾向。
■ シニア世代の満足度が高いのは、iPad。端末の機能・性能、形状・デザインが高評価。
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は1月24日、2014年 シニア世代のタブレット端末市場動向に関する調査結果をまとめた。国内のタブレット端末出荷台数が年間20%以上の伸び率で増加している大きな要因の1つとして、タブレット端末の購入層が拡大していることが挙げられる。中でも、シニア世代の利用者の増加は著しい。本調査では、シニア世代がタブレット端末をどの程度利用しているのかを把握することを目的とした。シニア世代の定義は60歳以上とし、利用状況はWebアンケートを通じて調査した。アンケートの実施は2013年12月1日から4日まで。
■ タブレット端末のシニア向け出荷は、2013年度83万台。2016年度には152万台に。
調査の結果、タブレット端末のシニア向け出荷台数は2013年度83万台と推計された。2012年度比180%と爆発的な伸びとなっている。2014年度は前年比135%の112万台、そして2016年度には、2013年度比83%増の152万台と順調な伸びを続ける見込み。当社が過去に実施したタブレット端末全体の出荷台数見込み(2013年4月25日発表)(http://www.ictr.co.jp/report/20130425000037.html)では、2016年度の出荷台数は2013年度比58%増と推計していたが、シニア向けはこれを大きく上回ることになる。元々パソコンを利用していたシニア世代が、支障なくタブレット端末を利用したことに加え、それまでパソコンを敬遠していたシニア層の利用が拡大していることが寄与していると見られる。
■ シニア世代のタブレット利用率は12.5%。30代の半分に留まるも、今後は増加の傾向。
本調査のアンケート結果から、タブレット端末の年代別利用率を見ると、60代以上の利用率は12.5%。20代以下(35.9%)、30代(24.6%)に比べるとまだまだ低いと言わざるを得ない。だが、未利用者に今後の意向を聞くと、46%の回答者が「価格や使いやすさ次第では、今後の利用を検討したい」と回答しており、今後増加を続けることが期待できる。
また、タブレット端末利用者の年代別構成比を見ると、60代以上は11.4%。ノートPCは18.1%あるため、今後この構成比がノートPC程度の水準まで拡大することも十分に考えられる。
■ シニア世代の満足度が高いのは、iPad。端末の機能・性能、形状・デザインが高評価。
では、シニア世代の利用者の満足度が高いタブレット端末は何なのか。「iPad」、「Androidタブレット」、「その他のタブレット」と分類して聞いたところ、「iPad」が総合満足度68.6ポイントでトップとなった。「Androidタブレット」が63.1ポイント、「その他のタブレット」が62.3ポイントと続いた。項目別に見ると、iPadは「端末の機能・性能」が70.3ポイント(次点のAndroidタブレットは59.7ポイント)、「端末の形状・デザイン」が74.0ポイント(次点のAndroidタブレットは67.7ポイント)と高評価を得ており、これが総合満足度の高さに直結したものと見られる。
タブレット端末は、ただ単に「キーボードのないPC」や「大きいスマートフォン」ではなく、ノートPCやスマートフォンを補完する機能・特長を備えている。特に、使いやすいインターフェースを備えているため、キーボード入力を敬遠していたシニア世代にとっては親しみやすいものとなっている。一方で、「自分には必要がない」と考えるシニア世代も多いため、「何をするために使うと便利なのか」を効果的に訴求することが今後のさらなる普及のカギになるだろう。例えば、まだシニア世代では利用率が低い電子書籍やデジタル新聞購読、Webサイトの音声検索、健康管理アプリ利用など様々な利用シーンが考えられ、PCに慣れ親しんできた人だけでなく、初めてタブレット端末に触れるシニアユーザー層への拡大が期待される。ICT総研では、今後も市場拡大が見込まれるこの分野の定点観測を続けていく方針だ。
【本資料の調査結果・推計データについて】
* この調査は、関連企業への取材とインターネットユーザーへのWebアンケート調査結果等をまとめて分析したものである。
* 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
* 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。