~SA・PA、ゴルフ場、神社・仏閣、道の駅等、郊外の電波状態を調査~
■ ソフトバンクが下り、上りともに最速を記録。Androidは下り速度24.2Mbps。
■ auは次点の結果も、iPhone5c、Androidともに下り20Mbps超を記録と安定。
■ NTTドコモは上り速度で劣勢も、Androidの下り50Mbps超が6地点と最多。
■ エリア別で見ると、下り最速は四国(25.9Mbps)。上り最速は中国(9.4Mbps)。
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は3月27日、ローカルエリアの外出先100地点におけるスマートフォン通信速度実測調査の結果をまとめた。当社では、過去にさまざまな利用シーンにおいて、通信速度やつながりやすさの実測調査をしているが、今回の調査では、一般的な電波実測調査では対象になることの少ないローカルエリアを対象とした。都市部を極力除いた全国のローカルエリアの中で、SA・PAやゴルフ場、神社・仏閣、道の駅など、主にドライブでの外出先になりやすい100地点での電波状況の実態把握を目指した。
調査期間は、3月8日から3月22日まで。調査手法は、上述の100地点の施設入口付近で、測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を利用して、下り通信速度、上り通信速度を各3回ずつ測定する形式とした。測定端末はNTTドコモ、au、ソフトバンクモバイル(以下、ソフトバンク)のiPhone5cおよびAndroid端末である。
■ ソフトバンクが下り、上りともに最速を記録。Androidは下り速度24.2Mbps。
実測の結果、ソフトバンクが最速の結果を記録した。iPhone5cの下り通信速度が23.10Mbps、上り通信速度が8.94Mbps、Androidの下り通信速度が24.16Mbps、上り通信速度が9.43Mbpsと、ともに次点を上回った。当社が過去に実施した調査では、ソフトバンクは、都市部や人口密集地帯では強みを見せるものの、地方では弱みを見せる傾向が見られた。だが、ローカルエリアの中では人が集まる地点を対象としたとは言え、都市部を対象としていない今回の調査によって、その傾向は大いに改善されていることが確認された。山間部等、まだまだLTE(4G)エリアカバーの面では途上である印象もあるが、今回調査対象としたような、人がある程度集まる地点であれば、ローカリエリアであっても確実にLTE(4G)で快適な高速データ通信が楽しめる環境が構築されていると言える。もちろん、同社が進める「倍速ダブルLTE」化も好結果に寄与していると考えられる。
■ auは次点の結果も、iPhone5c、Androidともに下り20Mbps超を記録と安定。
全体的に次点の結果だったのはauであった。iPhone5cの下り通信速度が20.86Mbps、上り通信速度が7.64Mbps、Androidの下り通信速度が23.02Mbps、上り通信速度が7.73Mbpsを記録。下り通信速度はともに20Mbps超と安定した結果を叩き出した。同社が強みであると公言する「800MHz帯」(プラチナバンド)のLTEがローカルエリアであっても幅広くエリアカバーされていることが、この安定した結果に影響していると見られる。
■ NTTドコモは上り速度で劣勢も、Androidの下り50Mbps超が6地点と最多。
NTTドコモは、上り通信速度がiPhone5c(5.40Mbps)、Android(5.63Mbps)ともにふるわず、劣勢であった。また、下り通信速度では、iPhone5cが18.73Mbpsと十分高速ではあるものの、他2社には一歩後れを取った。一方で、Androidについては下り23.08Mbpsと、他社と同等の高速な通信速度を記録した。また、Androidの下り50Mbps超の地点は6地点と最多。同社は、下り最大112.5Mbps、最大150Mbpsに対応するエリアを急ピッチで拡大しているが、その影響により、いわゆる爆速地点が増加していることが要因と見られる。
■ エリア別で見ると、下り最速は四国(25.9Mbps)。上り最速は中国(9.4Mbps)。
全国をエリア別に分けて今回の調査結果を見てみると、下り通信速度では四国エリアが25.9Mbpsで最速、上り通信速度では中国エリアが9.44Mbpsで最速となった。下り通信速度で四国エリアに続くのが、北海道エリア(22.98Mbps)、九州エリア(22.92Mbps)となっている。比較的地方エリアの結果が良好であるが、これは、地方であってもLTEエリアカバーされている地点であれば、回線混雑の可能性が少ない上に遮蔽物が少ないことなどが影響していると見られる。また、各携帯電話キャリアの地方エリア拡大の影響ももちろんあるはずだ。
今回調査対象としたローカルエリアの外出先100地点は、正直に言って交通の便が決して良くない地点が大半を占める。そんな地点にもかかわらず、ほとんど全ての地点でLTE(4G)での高速データ通信を記録できた。この調査をもって、全国の電波状況全てを総括するつもりはないが、本格的にLTEが普及し始めてから約1年半という短期間での高速モバイルデータ通信環境の整備状況には、驚かされる。各社とも今後さらなるLTEエリア拡大・増強を目標に据えており、ユーザーにとって快適にモバイルデータ通信が利用できる環境がますます期待される。
ICT総研では今後も「つながりやすさ」や「通信速度」というそれぞれの側面について、ユーザーが利用するさまざまなシーンを想定し、携帯電話・スマートフォンユーザーの指標となる実測データを提供していく方針だ。