- ■ スマホ利用者、固定BBサービス利用者に占めるセット割引利用者は現時点で18%
- ■ ドコモ光パック利用希望者は26%、全体の6割がセット割引の利用意向あり
- ■ セット割引利用者の価格満足度は51ポイント、非利用者は40ポイントにとどまる
- ■ 2014年度末のFTTH利用者見込は2,677万件、 2017年度に3,000万件突破へ
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は1月13日、モバイル・固定ブロードバンドサービスのセット割引ニーズに関する調査結果をまとめた。
■ スマホ利用者、固定BBサービス利用者に占めるセット割引利用者は現時点で18%
ICT総研は2014年12月に、モバイルブロードバンド(スマートフォン)と固定ブロードバンドサービスを利用しているユーザー3,087人に対してWebアンケート調査を実施した。その結果、モバイル・固定ブロードバンドのセット割引を利用している人は18.1%であった。セット割引利用者の内訳は、KDDIのセット割引であるauスマートバリュー利用者が13.3%、ソフトバンクのセット割引利用者が2.1%、その他のセット割引利用者が2.7%となっている。スマートフォンと固定ブロードバンド回線を同時に利用しているが、セット割引を利用していないユーザーは39.4%もいるため、今後のセット割引の潜在需要は高いものと思われる。
2014年12月時点のスマートフォン利用者数は6,000万件を超えており、FTTH・ADSL・CATVインターネットなどの固定ブロードバンドサービス契約数は3,600万件に達している。スマートフォンによる高速モバイル通信と固定ブロードバンドサービスを併用するユーザーも多く、スマートフォンと固定ブロードバンドのセット割引サービスを提供する事業者が増えている。NTTドコモは2015年2月に「ドコモ光パック」の提供を開始する計画であると告知しており、このセット割引サービスが開始されれば、モバイル・固定ブロードバンドサービスを併用するユーザーが増えると予想される。
■ ドコモ光パック利用希望者は26%、全体の6割がセット割引の利用意向あり
今後のモバイル・固定ブロードバンドサービスのセット割引利用意向について聞いたアンケート結果では、「事業者を乗り換えてまでセット割引を利用したいと思わない」と回答した人は40.5%となったが、約6割のユーザーがセット割引を利用したい意向を示している。中でも「ドコモ光パックを利用したい」と回答したユーザーが26.1%に達していることは注目に価する。「ドコモ光パック」は、NTT東日本・NTT西日本の光アクセスサービスを卸販売するビジネスモデル「光コラボレーション」を利用するセット割引サービスで、NTTドコモの携帯電話回線とNTT東西の光アクセスを同時利用することが適用条件となる。NTTドコモは昨年10月の決算発表会見において2015年2月からサービスを開始すると発表している。
アンケート結果から見る限り、auスマートバリューの利用意向(15.4%)、ソフトバンクのセット割引利用意向(7.8%)を大きく上回っており、ドコモ光パックが予定通り開始されれば多数の利用者を獲得しそうだ。
■ セット割引利用者の価格満足度は51ポイント、セット割引非利用者は40ポイントにとどまる
ICT総研が2014年12月に実施したアンケート調査において、モバイルと固定ブロードバンドサービスを合算した料金について満足度を聞いたところ、既にセット割引を利用しているユーザーの満足度ポイントは100点満点換算で51.52ポイントとなった。これに対して、セット割引の非利用者による満足度ポイントは40.22ポイントにとどまり、セット割引利用者と11ポイント以上の差がついた。
ただし、セット割引利用者の満足度も51ポイントと決して高い満足度となっているわけではなく、格安スマホのような低価格サービスが普及する要因ともなっている。
既にスマートフォンと固定ブロードバンドサービスを併用していながらセット割引の恩恵を受けていないユーザーにとっては、新たに始まる各社のセット割引サービスや格安スマホとの価格差を検討しながら今後の利用サービスを決めていくことになりそうだ。
■ 2014年度末のFTTH利用者見込は2,677万件、 2017年度に3,000万件突破へ
光回線サービス(FTTH)の累計加入者数は、2013年度末時点で2,537万件に達したが、ここ数年は年間の純増数が150万件程度で伸び悩む傾向が見られる。ICT総研では、2014年度末(2015年3月末)の累計契約数を2,677万件と予測しており、年間の純増数は140万件程度にとどまる見通しだ。
NTT東西の光アクセスサービスが卸販売され、NTTドコモをはじめとして様々なプロバイダーを通じて新サービスが提供される見込みだが、新サービスによる販売数の増加が見込まれるのは2015年度以降になりそうだ。ただし、NTT東西の卸サービスが開始されてもFTTH市場が劇的に回復することはなく、純増数ベースで150万件を上回ることは容易ではない。今後はセット割引利用者の解約率が低下し、スマホ利用者が自宅でFTTH回線を導入する効果も期待できるため、一定数の需要拡大が見込まれ、2017年度末に3,073万件の累計加入者になると予測している。
【本資料の調査結果・推計データについて】
*この調査は、電気通信事業者、関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー3,000人へのwebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものである。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
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