- ■「学割」加入者数構成比は、NTTドコモが2015年、2014年以前ともにトップ。
- ■ 2015年加入者の満足度トップはau。2014年以前加入者の満足度は拮抗。
- ■ 料金を支払うのは保護者が80%。購入時には学生本人の意見重視が42%。
- ■「GPSで居場所を把握できる」、「SNS等で依存症になる」との実感が増加。
- ■ 学生・子供の携帯電話利用者数は2014年末で1,173万人。増加の傾向。
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は4月22日、2015年 携帯電話の「学割」、「U25割引」利用動向調査の結果をまとめた。当社では毎年、携帯電話の「学割」利用の実態を定点観測してきたが、2015年は、対象が学生だけでなく25歳以下の若者全体に拡大するなど、割引対象が大きく変化しており、この調査では、その利用実態の把握を目指した。実態把握のためのWebアンケートは、携帯電話を利用する子供を持つ親982人に対して実施。アンケート実施期間は2015年4月13日から14日まで。Webアンケートと併せて、学生の携帯電話利用者数の市場規模についても推計した。
■「学割」加入者数構成比は、NTTドコモが2015年、2014年以前ともにトップ。
2014年までは、携帯電話の若年層向け割引サービスと言えば「学割」であったが、2015年はNTTドコモが従来の学割に代わって「U25応援特割」、「U25応援割」を導入し、対象を25歳以下に拡大。auは「学割」、ソフトバンクモバイル(以下、ソフトバンク)は「家族の学割」と、「学割」の名称自体は残したものの、ともに学生に限らず25歳以下を対象にした内容に変更しており、2014年以前と比べて様変わりした。
これを受けて、携帯電話を持つ学生を子供に持つ親 982に対してアンケートを実施した結果、2015年1月以降に「学割」および「U25割引」に加入したと答えた回答者は189人。2014年以前に加入したと答えた回答者は389人であった。2015年加入者の回答者数トップはNTTドコモの「U25応援特割」(45.6%)となり、auの「学割」とソフトバンクの「家族の学割」が25.4%で並んだ。同様に2014年以前加入者で見ると、NTTドコモ 37.4%、au 36.0%、ソフトバンク 23.3%という回答者数構成比となった。
NTTドコモは学割サービスの導入が大手3社中最後発であったが、1年前の同調査からも近年の学割サービス加入者数が大きく増加していることが読み取れていた。今年(2015年)はさらに割引対象者を拡大したことと、通話料金定額プラン「カケホーダイ」との相乗効果により、攻勢を強めたものと見られる。
■ 2015年加入者の満足度トップはau。2014年以前加入者の満足度は拮抗。
次に、「学割」および「U25割引」サービスの利用者に、その満足度について質問した。回答結果を100点満点換算したところ、2015年加入者では auが74.5ポイントでトップを記録。ソフトバンクが69.3ポイント、NTTドコモが56.3ポイントと続いた。一方で、2014年以前加入者の満足度は、トップのソフトバンクが57.0ポイント、auが56.4ポイント、NTTドコモが50.5ポイントと、各社で拮抗する結果となった。
■ 料金を支払うのは保護者が80%。購入時には学生本人の意見重視が42%。
学生が携帯電話・スマートフォン購入する際に、誰の意見が最も重視されるのか。「保護者」が48.1%でトップ、「学生本人」 42.0%、「学生と保護者が半々」 10.0%と続いた。1年前の同調査では「学生本人」 50.9%、「保護者」 36.2%であり、その割合が逆転した。
一方で、「誰が利用料金を支払うのか」については、「保護者」 79.7%、「学生本人」 18.6%となり、「保護者」が大勢を占めた。学生の意見が尊重されるケースも依然とした多いものの、やはり金銭面は保護者に依存している様子。
■「GPSで居場所を把握できる」、「SNS等で依存症になる」との実感が増加。
次に、「子供に携帯電話を利用させるにあたり、感じること」を質問したところ、良い実感としては、「子供が外にいても、すぐに連絡が取れる」が57.6%と、最も多くの支持を集めた。ただ、一年前の同調査時には63.4%であり、若干ポイントを落とした。一方で「子供が外にいても、GPS機能で居場所を把握できる」は17.3%と、前回の13.5%から支持を増やした。GPS機能搭載の子ども向けスマートフォンのラインナップが充実してきている点などが影響しているものと見られる。
悪い実感としては、「SNS等に熱中しすぎて、ネット依存症になってしまう」が25.6%と、前回の22.7%から増加。SNS普及による負の影響を回避するためにも、利用のさせ方にはやはり細心の注意が必要だろう。
■ 学生・子供の携帯電話利用者数は2014年末で1,173万人。増加の傾向。
最後に、この市場の実態の全体像を把握すべく、学生・子供の携帯電話利用者数を推計した。当社推計では、2014年末時点で1,153万人。今後、学生・子供の人口自体は漸減していくが、携帯電話普及率が増加することで、携帯電話利用者数自体は増加していく傾向。2018年末には、1,307万人にまで拡大する見込み。高校・大学生と比べて相対的に普及率の低い小中学生のユーザーを獲得することが、今後この市場を拡大させるためのカギとなるだろう。
「学割」サービスはもともとauが2000年に始めた割引サービスだが、ソフトバンク、NTTドコモと次々と参戦し、学生の囲い込み競争から、さらにはその家族の囲い込み競争に発展していった。2014年にはキャンペーン開始時期の前倒しが目立ったが、今年は割引対象者が大きく拡大し、「子供割」、「若者割」という位置づけに変化。国内の人口が減少局面にある中、携帯電話キャリアにとってますます重要な市場であることが浮き彫りになった。ICT総研では、引き続きこの市場の定点観測を続けていく方針だ。
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