- ■ MVNO「格安SIM」利用者シェアは、「OCNモバイルONE」が17.9%でトップ。
- ■ 利用者の月額料金満足度は、平均 72.1ポイントと非常に高い値に。
- ■ 通信品質満足度は、平均 64.5ポイント。「IIJ mio」が71.5ポイントでトップ。
- ■ MVNO「格安SIM」契約数は、2015年末に303万契約まで拡大すると推計。
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は5月12日、2015年 MVNOサービス・格安SIM(格安スマホ向け)の市場動向調査の結果をまとめた。総務省主導によるSIMロック解除の流れを受け、MVNOサービス全体では約170社、SIMカード型だけでも約25社が参入するなど、ますます市場が活性化するMVNOサービスの市場について、利用動向の把握を目指した。
格安SIMによるスマートフォン利用者726人に対するWebアンケート(5月9日~10日に実施)を元にした利用者シェアや顧客満足度の実態把握に加え、MVNO契約数、「格安SIM」契約数の市場規模についても推計した。
■ MVNO「格安SIM」利用者シェアは、「OCNモバイルONE」が17.9%でトップ。
格安SIMによるスマートフォン利用者へのWebアンケートの結果、NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」が17.9%と、出現率ベースで利用者数シェアトップとなった。インターネットイニシアティブの「IIJ mio」が13.1%、ビッグローブの「BIGLOBE LTE・3G」が8.8%でこれに続く。日本通信の「b-mobile」(6.7%)を含めた上位4社で合計46.6%と、シェアの半分近くを占めた。総務省によると、MVNOサービス契約数は、2013年末時点の669万契約に対し、2014年末には892万契約と、1年間で33%の伸びを記録。この要因として、この1年間で参入事業者数が大きく増加していることも挙げられる。だが、格安SIMの実際の利用者数という視点で調査したところ、MVNO市場への参入が早く、もともとネットワーク運営に定評のあるISP事業者の利用者シェアが高い結果となった。
■ 利用者の月額料金満足度は、平均 72.1ポイントと非常に高い値に。
格安SIMによるスマートフォン利用者に対して、月額料金満足度を聞いたところ、100点満点換算した満足度ポイントで、平均 72.1ポイントと非常に高い値となった。当社が別調査で実施している携帯電話や固定インターネット回線などの利用者満足度と比べても、非常に高い数値と言える。事業者ごとに見ると、NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」が74.6ポイントでトップ。ソネットの「So-net PLAY SIM」が73.3ポイント、ビッグローブの「BIGLOBE LTE・3G」が72.9ポイントでこれに続いた。
■ 通信品質満足度は、平均 64.5ポイント。「IIJ mio」が71.5ポイントでトップ。
一方、通信品質満足度について聞いたところ、平均 64.5ポイントと、月額料金満足度に比べると満足度ポイントはやや低い結果となった。事業者ごとに見ると、インターネットイニシアティブの「IIJ mio」が71.5ポイントでトップ。「OCNモバイルONE」が70.0ポイントで次点となった。
元来ネットワーク品質への信頼感があるNTTコミュニケーションズやインターネットイニシアティブが提供しているということで、月額料金が安いことによる懸念が払しょくできており、その結果が高い満足度ポイントに表れているものと考えられる。
■ MVNO「格安SIM」契約数は、2015年末に303万契約まで拡大すると推計。
MVNOサービスの契約数市場規模は、2014年末時点で892万契約であった(総務省・MNOであるMVNOを除いたもの)。ICT総研は、事業者等へのヒアリングを元に、2015年末にはこれが22.8%増の1,096万契約にまで拡大すると推計する。また、そのうち「格安SIM」の契約数は2014年末時点で241万契約と見られるが、これも2015年末には25.7%増の303万契約まで拡大すると見込む。
現在、モバイル契約数全体に占めるMVNO契約の比率は5%程度だが、総務省では2016年にモバイル契約数全体の10%をMVNO契約としたい意向を示している。この実現可否は、ソフトバンク回線を利用したMVNOサービスの登場や、SIMロック解除義務化の影響などにも左右されるだろう。ICT総研では、競争がますます激化するこの市場を引き続き定点観測していく方針だ。
【本資料の調査結果・推計データについて】
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