2023年 公衆無線LANサービス利用者動向調査

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  • ■ コロナ禍の3年間は利用者大幅減、2023年度には5,691万人へ利用者数が急回復
    ■ 携帯電話キャリアの公衆無線LANが高い満足度。全体平均は5年間で4.8ポイント上昇
    ■ カフェ・飲食店、コンビニ・ショッピングセンターでの公衆無線LAN利用が多い傾向
    ■ 安全性が向上すれば公衆無線LANを利用したいと考えるユーザーは34.4%

 株式会社 ICT総研 (東京都中央区)は4月11日、公衆無線LANサービス(公衆Wi-Fiサービス)市場に関する調査結果をまとめた。

■ コロナ禍の3年間は利用者大幅減、2023年度には5,691万人へ利用者数が急回復

 公衆無線LANサービスは2019年度までは順調に利用者数を伸ばし、6,342万人のアクティブユーザーがいたが、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年度からの利用者数は約7割程度まで落ち込んだ。
 コロナによる外出機会減少に加えて、2021年から格安料金プランが登場した影響により外出先で公衆無線LANを利用しないスマホユーザーが増えたことも減少要因として挙げられる。

 今後は新型コロナウイルスによる行動規制・海外渡航規制の緩和によって個人・ビジネス・訪日外国人ともに利用者数は回復し、2023年度の利用者数は5,691万人になると推計される。2024年度にはコロナ以前の2019年と同等の水準に戻り6,220万人に達する見通しだ。

■ 携帯電話キャリアの公衆無線LANが高い満足度。全体平均は5年間で4.8ポイント上昇

 公衆無線LANサービスは、通信キャリア(事業者)が提供しているものや、施設を運営する企業等のブランド名で運営されているものがある。固定系通信キャリアは、宅内のブロードバンド回線利用者が屋外でも利用できるようにするために公衆無線LANサービスを全国で展開してきた。一方、携帯電話キャリアは、LTE(4G)などの無線ブロードバンドの混雑状況回避のために公衆無線LAN基地局を設置してきた経緯がある。また、通信キャリア以外では、喫茶店やコンビニ、交通機関などでも利用者の利便性や満足度の向上を目的として、公衆無線LAN基地局を設置している。
 ICT総研が実施したWebアンケートの結果では、NTTドコモが提供するd Wi-Fiが68.9ポイントでトップとなった。au Wi-Fi SPORが66.5ポイントで次点、ソフトバンクWi-Fiスポットが65.5ポイントでこれに続いた。結果として、携帯電話キャリア3社が提供する公衆無線LANサービスが、満足度の面でも上位となった。
 携帯電話キャリア以外が運営するものでは、流通系事業者が展開するイオンWi-Fiが62.9ポイント、コンビニエンスストアが提供するWi-Fiサービスは、61.9ポイント、観光地・自治体の提供する公衆Wi-Fiは60.9ポイントであった。
 コンビニエンスストアや観光地・自治体の提供するWi-Fiサービスの満足度は比較的低い結果となっているが、今回の満足度調査の平均65.3ポイントは、5年前の満足度調査の平均値から4.8ポイント上昇しており、全体的に見て改善傾向にある。

■ カフェ・飲食店、コンビニ・ショッピングセンターでの公衆無線LAN利用が多い傾向

 公衆無線LANの利用場所は、調査対象4サービス全てにおいて「コンビニ・ショッピングセンター」がトップとなった。次いで利用者が多い傾向にあるのが「カフェ・飲食店」であり、「駅・空港・SA/PA」がその下に続く結果となった。5年前の調査時点では「コンビニ・ショッピングセンター」における公衆無線LANの利用率は40%前後であったが、現在では50%以上が利用している。要因としては、スマートフォンを用いたキャッシュレス決済を行う機会が増えたこと、外出先での動画サービスやSNSの利用者が増えたこと等が考えられる。

■ 安全性が向上すれば公衆無線LANを利用したいと考えるユーザーは34.4%

 公衆無線LANサービスは十分な暗号化が行われておらず、第三者に通信を傍受されるリスクが高い場合がある。そういったセキュリティ対策への懸念から、公衆無線LANの利用を躊躇するユーザーは少なくない。
 本調査において実施した今後の公衆無線の利用意向のWebアンケートの結果、安全性が現状のままでも無料サービスなら利用したいと回答した割合は29.0%、有料のサービスも含めて利用したいと回答したのは7.6%であった。一方で、安全性が向上すれば無料サービスのみ利用したいと回答した割合は28.9%、有料のサービスも含めて利用したいと回答したのは5.5%であった。
 セキュリティ面の不安がなければ今後利用したいと回答した割合は計34.4%と、現状のままでも利用したいと回答した割合の計36.6%と同程度いることから、潜在需要は大きいと言える。今後はアフターコロナでの外出機会増大、訪日外国人旅行者数の回復も見込まれるため、セキュリティが向上したサービスが普及することによって公衆無線LAN利用者数はさらに拡大しそうだ。

【本資料における用語の定義】
* 日本在住者の公衆無線LANサービス利用者数: Wi-Fi規格の通信機能を利用した商用通信サービスの利用者数。月に1回以上の利用があるアクティブユーザーで、ユニークユーザー数(個人数)としてカウントしている。公衆無線LANサービスを利用できる環境にあっても屋外でWi-Fi機能を全く利用していない場合は、利用者としてカウントしない。
* 訪日外国人の公衆無線LANサービス利用者数: 直近1年間で1回以上の利用があるアクティブユーザーで、ユニークユーザー数(個人数)としてカウントしている。公衆無線LANサービスを利用できる環境にあっても屋外でWi-Fi機能を全く利用していない場合は、利用者としてカウントしない。

【本資料の調査結果・推計データについて】
* この調査は、公衆無線LANサービス事業者、関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,322人へのWebアンケート調査の結果などをまとめて分析したものである。
* 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
* 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。
* 本資料は報道・ニュースメディア向け資料であり、ICT総研の許可無く、データ、グラフ等を広告および販促活動に利用することを禁止する。
* 本資料に記載された文章、グラフ等を報道、各種ホワイトペーパー、セミナー資料、学術研究資料等に転載する場合は、「ICT総研調べ」「出典:ICT総研」などの表記を加えて下さい。

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