GIGAスクール端末のデータ消去、適正対応は12.5%
一般社団法人 児童生徒のデータプライバシー協会は、全国1787自治体の教育委員会を対象に「GIGAスクール端末処分に関する実態調査」を実施し、その結果を公表した。
専用ソフトを使用したデータ消去は12.5%
調査によると、GIGAスクール端末のデータ消去方法として最も安全とされる「専用ソフトウェアによる消去」を実施している教育委員会は、わずか12.5%にとどまっている。一方、「初期化・リセット」「磁気消去」といった適正とは言えない方法を選択している自治体はあわせて23%存在している。
初期化やリセットでは、データが完全に消去された証明が困難であり、復元ソフトを使えば情報が読み出されるリスクもある。実際、2025年にはクラウド上に残ったデータがGIGAスクール端末から復元された情報漏えい事例も発生しており、現場の対応が追いついていない実態が明らかとなっている。
消去履行の証明体制も不十分
さらに、データ消去作業の履行確認についても課題が残っている。回答した教育委員会の37.5%が「1台ごとの消去ログが取れないデータ消去履行確認の実施」方法を検討中であり、資産管理番号と紐づいた証明書の取得予定も20.2%にとどまっている。文部科学省のガイドラインでは、専用ソフトウェアによる消去と消去証明書の発行が推奨されているが、現場では十分に徹底されていないのが現状である。

進まない予算確保、外部委託も壁に
データ消去や端末処分のための外部委託予算を確保できている教育委員会は28.8%と3分の1以下にとどまっており、予算や情報不足、適切な事業者の選定が進まないことも大きな課題である。GIGA2.0調達時に処分費用を含める予定の自治体も4分の1にとどまっている。

GIGAスクール端末には、成績や健康情報、進路相談など多岐にわたる個人データが記録されている。児童生徒や保護者が安心して端末更新を迎えるためには、全国の自治体が「1件でもデータ漏えいを起こさない」ための正しい知識と体制整備、十分な予算確保が不可欠だ。
一般社団法人 児童生徒のデータプライバシー協会では、今後も調査・啓発・相談事業を通じて、より安全な端末処分の普及を目指すとしている。
詳細は「GIGAスクール端末廃棄を、もっと安全に」プロジェクトサイトで確認できる。
https://www.student-data-privacy.jp/
https://denpanews.jp/