【業界トピックス】「災害支援ローソン」1号店が富津市に誕生

「災害支援ローソン」1号店が富津市に誕生

 KDDIとローソンは2026年2月24日、災害時に地域の支援拠点となる「災害支援ローソン」の1号店としてローソン富津湊店(千葉県富津市)をリニューアルオープンした。平時はコンビニエンスストアとして営業しながら、大規模災害の発生時には通信・電力・食料・情報発信を提供する拠点に切り替わる仕組みで、2030年度までに全国100店舗への展開を目指す。
同日、両社は千葉県富津市と「防災および災害対処に関する協定」を締結し、衛星通信やドローンを活用した防災DXの実現に向けて連携することを発表した。

災害支援ローソン店頭掲出プレートイメージ

避難した人が「まず頼れる場所」として設計

災害時に避難者が直面する、通信断絶や物資不足といった課題に対し、本店舗は複数の支援機能を備える。通信面では、Starlinkをバックホール回線に活用した小型携帯電話基地局「auフェムトセル」を店内に設置。通常のau回線が寸断された状況でも音声通話やデータ通信を可能にし、店内のフリーWi-Fiも開放する。

この「auフェムトセル」のStarlinkによる商用導入は国内初となる。最大の特徴は、通常の基地局設置に必要な無線技士などの資格が不要で、ローソン従業員が迅速に起動できる点だ。

KDDIは2011年の東日本大震災でも衛星回線による通信確保を試みたが、当時の静止衛星では速度が不十分だった。2024年の能登半島地震において低軌道のStarlinkとフェムトセルを組み合わせた臨時設置を行い、日常と遜色ない品質を確認したことで、今回の商用導入に至ったという。また、店頭にはスマートフォン等を充電できるバッテリーチャージャーも備え、端末の利用継続を支援する。

基地局のイメージ

水・電力・食料をコンビニ1店舗でカバー

 生活インフラとしての機能も強化されている。飲料水は備蓄倉庫に1,500リットル以上をローリングストックし、断水時には敷地内の井戸から手動ポンプで生活用水も供給する。食料面では、配送が途絶した際でも店内の厨房で米と水から作成できる「災害時専用おにぎり」を用意する。断水時のトイレ問題に対しては、凝固剤を使用する使い捨ての災害用トイレを常備し、避難者へ提供するという。
停電対策では、屋根上の太陽光パネル、大容量蓄電池、電動社用車(アクセサリーコンセント)からの給電を組み合わせ、店舗運営と通信維持に必要な電力を確保する設計だ。

情報発信面では、店内のデジタルサイネージで災害状況を周知するほか、従業員の端末に緊急情報を送信し、迅速な避難誘導を行える体制を整える。さらに、自治体と連携したドローンによる避難呼びかけや被災状況の確認についても導入を検討している。

防災インフラの新たな形となるか

政府の地震調査委員会によると、今後30年以内に南海トラフ巨大地震が発生する確率は60〜90%程度以上とされている。設置対象はこうした震災の影響が想定される地域を中心に選定され、2030年度までに全国100店舗への展開を目指す方針だ。

この店舗はKDDIの通信復旧チームの活動拠点としても機能する設計となっており、機材の保管や発電機の設置スペースも確保されているという。KDDIは今後、フェムトセルを自治体や避難所へ展開することも検討しており、通信キャリアと小売業、自治体が三位一体で整備するこのモデルは、分散型の防災拠点ネットワークとして全国的な波及が期待されるだろう。

参照:国内初、Starlinkを活用したauフェムトセルを商用導入
富津市、KDDI、ローソン、防災および災害対処に関する協定を締結
平時はお買い物拠点、災害時は地域の支援拠点に「災害支援ローソン」1号店を千葉県富津市にオープン

https://denpanews.jp/

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