【業界トピックス】ソフトバンク、25年4~6月期は増収減益

ソフトバンク、25年4~6月期は増収減益

 ソフトバンク株式会社が2025年8月5日に発表した2026年3月期 第1四半期の決算は、売上高が前年同期比8.0%増の1兆6,586億円に達し、新年度として力強いスタートを切った 。

一方で、営業利益は前年同期にLINEヤフーグループで計上した子会社の支配喪失に伴う利益が剥落したことなどを主因に、同4.3%減の2,907億円となった 。最終的な純利益も10.6%減の1,453億円で着地している 。

 今回の決算で特に成長を牽引したのはPayPayを中核とするファイナンス事業であり、QRコード決済やクレジットカードの取扱高増加を背景に、セグメント利益は前年同期比136.8%増となる181億円へ急増を遂げた 。加えて、法人向けのエンタープライズ事業も、企業のデジタル化需要を背景にクラウドやセキュリティソリューションが伸長し、セグメント利益は同17.7%増の488億円と好調だ 。

また、ディストリビューション事業もGIGAスクール構想第2期やWindows 10からの移行需要を捉え、利益は55.4%増の119億円と大幅な伸びを示した 。主力のコンシューマ事業は、携帯端末の平均単価上昇などにより物販等売上が25.6%増加し、セグメント全体では増収となったものの、利益は1.6%の微減となる1,538億円であった 。

 この第1四半期の実績は、2025年5月に公表した通期業績予想(売上高6兆7,000億円、営業利益1兆円)に対し、売上高進捗率24.8%、営業利益進捗率29.1%と順調な滑り出しとなっている 。設備投資は前年同期にAI計算基盤向けの大型投資があった反動で減少したものの、これは戦略的な投資サイクルの結果であり、今後もAIデータセンター構築など次世代社会インフラへの注力は継続されると言える 。安定した通信事業を基盤としながら、成長著しいファイナンス事業と未来を創るAI事業へ積極的に投資する、これが現在のソフトバンクの経営戦略の核心であると言えるだろう。

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