テラヘルツ波で超高速伝送実験に成功、パナソニックら
パナソニックホールディングス、国際電気、名古屋工業大学、KDDI総合研究所は15日、Beyond 5G/6Gの実現に向けた重要な技術となる、テラヘルツ波を用いた仮想化端末の実証実験に成功したと発表した。
実験では、各社が開発した要素技術を統合した仮想化端末ハードウェア実証装置を使用。テラヘルツ波によるマルチビーム伝送と偏波MIMO技術*1を組み合わせ、4.8 GHzの帯域幅で38.4 Gbpsという超高速伝送を達成した。これは、現在の5Gの最大帯域幅の12倍に相当する。
*1 MIMO:送受信で複数アンテナを使い、同じ時間・周波数で複数のデータを送り、分離して受信することで通信速度を上げる技術。偏波MIMOは、直交・水平の電波を使う方式。
この実験の核心となるのは、仮想化端末という新しい考え方だ。ユーザーの端末が、身の回りにある様々なデバイスとテラヘルツ帯で連携し、それらのデバイスのアンテナをあたかも一つの大きなアンテナのように機能させる。これにより、テラヘルツ波の広い帯域を最大限に活用し、電波の利用効率を高め、Beyond 5G/6Gが求める超高速通信を実現する。

また、実験では4K非圧縮のリアルタイム映像伝送にも成功した。これは、将来的に大容量データ通信が求められる様々な分野での応用を示唆している。
実験に用いられた主要な技術は、パナソニックホールディングスの超広帯域ベースバンド信号処理装置、国際電気のテラヘルツ帯送受信機と中継デバイス、名古屋工業大学のテラヘルツ帯マルチビームアンテナだ。KDDI総合研究所は、この仮想化端末のコンセプトを提案し、装置の構築と測定を主導した。
実験の結果、電波暗室という環境下で、中継デバイスを介して5mの距離で38.4 Gbpsの伝送速度を達成。さらに、伝搬距離約200m相当の環境でも38 Gbpsの伝送が可能であることが確認された。また、誤り訂正符号化技術により通信の信頼性を高め、アプリ通信速度14.8 GbpsでのIP通信、そして4K非圧縮リアルタイム映像伝送の成功に繋がった。
各社はこの成果を基に、Beyond 5G/6Gに向けた研究開発をさらに加速する方針だ。
参考リンク:パナソニック
https://news.panasonic.com/jp/press/jn250515-1
https://denpanews.jp/