【業界トピックス】ドコモ決算、モバイル通信減益もスマートライフは好調

ドコモ決算、モバイル通信減益もスマートライフは好調

 NTTドコモは2025年8月6日、2025年度第1四半期の決算を発表した。今回の決算は増収減益となり、特にコンシューマ事業におけるモバイル通信サービス収入の減少と、販促強化・ネットワーク強靭化のための費用増加が利益を圧迫した。

【決算概要】
連結営業収益は1兆4,901億円(前年同期比+0.9%)となったものの、営業利益は2,397億円(前年同期比-13.0%)に落ち込み、増収減益となった。当社株主に帰属する四半期利益も1,749億円(前年同期比-10.2%)なっている。
この背景には、設備投資の大幅な増加が影響していると考えられ、今期の設備投資額は1,849億円と、前年同期の1,200億円から+54.1%(649億円)も増加している。

【セグメント別】
コンシューマ事業は、販促強化で減益
セグメント別では、コンシューマ事業が減益となった一方、法人事業は堅調に増益を達成した。

コンシューマ事業では、営業収益は1兆901億円(前年同期比-0.8%)、営業利益は1,639億円(前年同期比-20.7%)と大幅な減益を記録した。

このうちコンシューマ通信においては、モバイル通信サービス収入が141億円減少し、営業収益は前年同期比で-2.4%となったことが主な要因だ。これに加え、販促強化やネットワーク強靭化に投じられた費用が257億円増加し、利益をさらに押し下げた。
一方で、モバイル通信ARPUは横ばいの3,920円を維持しており、顧客基盤ではMNPが3四半期連続で純増を続けるなど改善傾向が見られる。新たな大容量プラン「ドコモMAX」の導入により、今後のARPU向上や顧客基盤拡大を目指すとしている。

スマートライフは、営業収益が前年同期比+4.3%となった。これは主に金融事業の収益拡大がスマートライフ事業全体の増収に貢献した。
dカード会員の増加やd払い利用の拡大により、金融事業の収益は前年同期から+12%(1,202億円)となった。また、dカードPLATINUMの利用者単価は24%向上、マネックス証券とのdカード積立決済額が約6倍に伸長するなど、銀行、決済、投資、保険、融資といった多様な金融サービスをワンストップで提供し、経済圏を拡大している。
一方、エンタメ事業はひかりTV関連収入の減少があったものの、子会社や国立競技場、IGArenaなどのべニュー事業収入が拡大し、収益を維持した。

法人事業は、DX需要で好調
対照的に、法人事業は堅調な業績を見せた。営業収益はの4,560億円(前年同期比+6.0%)、営業利益も758億円(前年同期比+10.3%)となり、DX需要を確実に取り込むことでオーガニック成長を実現したと分析されている。
財政状態に目を向けると、2025年6月30日時点の資産合計は11兆4,384億円と前会計年度末から微増した。

今回の決算は、法人事業とスマートライフ事業がグループ全体の収益を下支えする一方で、中核であるモバイル通信事業の収益減少と、将来を見据えた先行投資が利益を圧迫する構図を浮き彫りにした。今後は、新プラン「ドコモMAX」の浸透や、金融・マーケティングソリューションのさらなる強化を通じて、利益改善を図ることが焦点となるだろう。

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