【業界トピックス】ドローン通信の安定化へ新オプション開始―NTTドコモビジネス

ドローン通信の安定化へ新オプション開始―NTTドコモビジネス

 NTTドコモビジネスソリューションズは、2025年9月1日より、法人向け「LTE上空利用プラン」の新たな専用オプションとして、上空LTE通信に特化したパケット優先制御機能「ワイドオプション」の提供を開始した。ドローンを用いた遠隔監視やインフラ点検などの用途が拡大する中、通信の安定化と高速化を実現するこの新機能は、産業用ドローンの社会実装をさらに加速させるものと期待される。

「ワイドオプション」は、NTTドコモのモバイルネットワーク内で、通常回線よりもドローンからの通信パケットを優先的に割り当てる機能である。電波が混み合う都市部やイベント会場周辺、あるいは災害発生時など、通常であれば通信速度の低下や遅延が発生しやすい状況においても、安定した高速通信を確保することが可能となる。これにより、ドローンから送信される高精細な映像データのリアルタイム伝送がスムーズに行われ、より精緻な状況把握や迅速な意思決定を支援する。

この機能の導入は、社会インフラの維持管理や災害対応の分野で大きな効果を発揮すると見られる。例えば、電力会社による送電線の設備点検において、ドローンから送られてくる4Kなどの高解像度映像をリアルタイムで確認することで、これまで見過ごされがちだった微細な損傷や劣化を早期に発見することが可能となる。これにより、AIを用いた画像解析の精度も飛躍的に向上し、点検作業の効率化と安全性の向上に貢献する。また、災害現場では、被災地の状況をドローンが上空から撮影し、リアルタイムで本部へ映像を伝送することで、被害状況の迅速な把握と救助活動の円滑化につながる。

こうした上空における通信の安定化は、ドローンの自律飛行や複数機による連携飛行といった、より高度な運航管理にも不可欠な要素である。安定した通信環境は、ドローンの制御信号の確実な送受信を担保し、安全な運用を支える基盤となる。

今回のサービス提供開始に先立ち、NTTドコモは2025年6月3日に、日本国内で初めて上空LTE通信におけるパケット優先制御の検証に成功したと発表している。これは、ドローンの安全運航や社会実装に向けた重要な一歩であり、今回のサービス化を可能にした技術的裏付けとなっている。この検証では、上空150mを飛行するドローンから地上の端末へ大容量の映像データを送信し、ネットワーク混雑時でも通信速度を維持できることを確認したという。

提供される「ワイドオプション」は法人専用のサービスであり、料金や申し込み方法については、NTTドコモビジネスの営業担当者への問い合わせが必要となる。ドローン技術が産業や社会の様々な分野に浸透しつつある今、通信インフラの面からその活用を後押しするこの新機能は、今後のドローン市場の拡大と、それによる新たな社会課題の解決に大きく貢献するだろう。

サービス詳細ページ:https://www.ntt.com/business/mobile/charge/lte-joukuriyou-plan/wide-option.html

https://denpanews.jp/

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