【業界トピックス】学校のネットワーク環境、ICT担当者の7割以上が改善要望

学校のネットワーク環境、ICT担当者の7割以上が改善要望

 株式会社バッファローは2025年9月17日、教育委員会に所属しICT関連業務に携わる86名を対象とした「学校現場におけるICT活用とネットワーク環境に関する調査」の結果を公表した。
これはGIGAスクール構想による一人一台端末の導入が進んだ後の教育現場におけるネットワーク環境の実態と課題を明らかにするもので、多台数接続時の通信安定性やネットワーク機器管理の費用負担が大きな課題として浮上している。

学校Wi-Fiの7割以上が改善を必要と認識

現在学校で導入されているWi-Fiについて「改善したいと感じることはありますか」という質問(n=86)に対し、「ある」と回答したのは70.9%に上った。「ない」は18.6%、「わからない/答えられない」が10.5%となっている。学校現場のICT担当者の大多数が、現状のネットワーク環境に課題を抱えている実態が明らかになった形である。

具体的な改善要望(複数回答、n=61)として最も多く挙げられたのは、「一人一台端末を使用する際など、多台数の端末を同時接続した場合に通信が不安定になる」で55.7%だった。これは、端末活用が進むにつれて顕在化する、通信負荷への対応力の不足を示している。

その他の具体的な課題としては、「一斉に動画視聴をした際に、再生速度にバラツキが発生し授業進行に支障が出る」が44.3%、「オンライン授業時に、映像や音声が途切れることがある」が34.4%と続いた。また、特定の場所での接続性の問題も指摘されており、「教室の隅や廊下など、特定の場所でネットワークに繋がりにくい」が31.1%となっている。

集中管理サービスは費用負担が課題

また、ネットワーク機器の保守・管理において、機器の集中管理サービスを「利用している」と回答した担当者は69.8%だった。管理体制の効率化が進んでいる一方で、利用継続に関する費用課題が浮き彫りになった。
集中管理サービスを利用していると回答した方(n=60)の課題(複数回答)では、「ライセンスの更新費用が高く、継続に課題を感じている」が46.7%でトップであった。次いで、「複数メーカーの機器を一元管理できず、管理が煩雑になっている」が38.3%、「サポート体制が不十分で、トラブル時の対応に不安がある」が31.7%となっている。
また、集中管理サービスを「利用していない」理由(n=13)を尋ねると、「初期導入費用が高額で予算確保が困難」と「導入後のライセンス更新費用が継続的な負担になる」がともに38.5%を占め、コスト面が導入の最大の障壁となっていることが確認された。

リプレースではセキュリティーと安定性を重視

ネットワーク機器のリプレースを検討する場合に重要視する機能や製品仕様(複数回答、n=86)については、「セキュリティー機能の高さ」が52.3%で最も重視され、「多台数接続時の通信安定性」と「通信速度の速さ」がともに48.8%で並んだ。これは、安定した通信環境を安全に運用することが、教育現場において最優先事項となっていることを示唆している。
リプレースの財源については、「自主財源」が35.0%で最多であり、今後の補助金活用も26.7%で検討されている状況がうかがえる。さらに、現在のネットワーク環境を調査・分析するネットワークアセスメントは、40.6%が「実施済み」、32.6%が「実施予定」と回答しており、多くの自治体で現状把握の取り組みが進んでいる。

バッファローは、ICT教育環境の実現には、予算制約や専門人材不足といった現実的な障壁があるとしつつ、多台数接続時も安定稼働する機器の導入、ライセンス費用を抑えた集中管理サービスの活用、そしてネットワークアセスメントによる現状の正確な把握が重要であると結論付けている。

出典:【GIGAスクール「その後」の壁】 ICT担当者の7割以上が学校現場のネットワーク環境を課題視。 55.7%が「多台数接続時の通信安定性」を改善要望【学校現場におけるICT活用とネットワーク環境に関する調査】

https://denpanews.jp/

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