IIJのSoftSIMがマルチキャリア対応
インターネットイニシアティブ(IIJ)は4月2日、通信モジュール内にソフトウェアとしてSIM機能を組み込む「SoftSIM」において、複数の携帯電話網を切り替えて通信できるマルチキャリア対応を開始した。従来は同社がフルMVNOとして提供するNTTドコモ網のみに対応していたが、今回の機能拡張により、ローミングを活用して他社のネットワークをバックアップ回線として利用可能になる。
マルチプロファイル技術を活用し回線の自動切り替えに対応、産業IoTの高可用性ニーズに応える
SoftSIMは、物理的なSIMカードを必要とせず、通信用モジュール内のメモリにソフトウェアとして契約情報であるプロファイルを書き込む技術だ。IIJは2019年からフルMVNOとしての強みを活かし、独自のSoftSIMソリューションを展開してきた。今回の対応では、モジュール内に複数の通信事業者のプロファイルを保持し、必要に応じてこれらを切り替える仕組みを導入している。

利用イメージ
IIJはこれまでも、ドコモとKDDIの両回線に対応した「IIJモバイルサービス」や、1枚の物理SIMで回線を切り替える「マルチプロファイルSIM」などを提供し、マルチキャリア環境の構築を支援してきた経緯がある。昨今のIoT市場では、機器の小型化や省電力化、さらには故障率の低減を目的として、物理的な接触部位を持たないSoftSIMの採用が広がっているという。一方で、工場などの産業現場や重要インフラの監視といった用途では、特定のキャリアで障害が発生した際でも通信を継続できる高い可用性が求められていた。
この機能の導入により、デバイス側で所定のコマンドを実行して通信プロファイルを切り替えることが可能となる。例えば、IoTゲートウェイなどの端末に通信断を検知するアルゴリズムを実装すれば、人手を介することなくメイン回線からバックアップ回線へ自動で切り替え、通信を維持する仕組みを構築できる。これにより、メイン回線の電波が不安定な環境下でも別キャリアへ切り替えて運用を継続できるため、機器の設置場所に関する制約も大幅に緩和される見通しだ。
物理SIMやSIMソケットなどの部品を排除できるSoftSIMには、製造・流通コストの削減以外にも多くのメリットがある。部品点数が減ることで基板設計の自由度が増し、デバイスのさらなる小型化が可能になるほか、物理的な振動や温度変化に対する耐性も向上する。また、SIMカードの抜き取りによる盗難や不正利用の防止、さらには防水・防塵性の確保が容易になる点も、屋外や過酷な環境に設置されるIoT機器にとって大きな利点となる。
提供価格については、SoftSIM完全従量制プランの参考価格として、初期費用が3000円、月額基本料はメイン回線とバックアップ回線でそれぞれ200円となっている。バックアップ回線でのデータ通信は1MBあたり15円の従量課金が適用される。
IIJは今後も、マルチキャリアに対応するMVNOとしての知見を活かし、IoT分野でのサービス拡充を継続する方針だ。なお、同社は4月8日から10日まで東京ビッグサイトで開催される「JAPAN IT Week 組込み・エッジ・IoT開発EXPO」に出展し、今回発表したマルチキャリア対応のSoftSIMや、対応予定のIoTゲートウェイ、USBドングルなどの展示を行う予定としている。
IIJ リリース:https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2026/0402.html
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