Samsung、Windows向けブラウザにAI統合。デバイス横断とエージェント化を加速
Samsungは「Samsung Browser for Windows」を2026年3月26日に提供開始した。Android端末とWindows PC間のシームレスな連携と、ブラウザへのAIエージェント統合が特徴となっている。
Samsung Browser for Windowsでは、モバイル端末で中断したページをPCでそのまま引き継ぐことができ、デバイスをまたいだ作業フローがより自然に実現できる。機能を利用するには、最新バージョンのSamsungアカウントに加え、PCへのSamsung Continuity Serviceなどのインストールが必要だ。これらはデバイス間の障壁を取り除く役割を担っており、単なるブックマークや閲覧履歴の同期にとどまらず、モバイル端末で中断したウェブページをPC側で即座に再開し、閲覧し続けることを可能にする。これらの連携機能の利用条件は対応デバイスや地域によって異なっており、現時点では一部のGalaxy Bookシリーズなどで利用可能とされている。

ブラウザ自体がAIエージェントに。マルチモデル戦略へ
今回のリリースで注目されるのは、ブラウザへのAIエージェント統合だ。搭載された「Browsing Assist」は、閲覧中のページ内容を文脈として理解した上で、旅程の作成、動画内の特定シーンの検索、自然言語による閲覧履歴の呼び出し、複数タブをまたいだ情報の比較・要約といった操作をブラウザ上で完結させる。単に調べるだけでなく、情報を整理・活用するところまでをブラウザが担う形となっている。
このAIの中核を担うのがPerplexityだ。同社はSamsungとの提携によりAI機能の一部を支えており、今回のブラウザ統合はその連携をさらに深化させたものと位置づけられるだろう。Perplexityが自社開発するAIネイティブブラウザ「Comet」の構築を通じて蓄積したエージェント型ブラウジングのノウハウを、今回はAPIとして提供する形をとっており、フロントエンドはSamsung Browser、AIの推論・検索処理をPerplexityが担う(*1)。
なお、Windows版およびAndroid版のSamsungブラウザにおけるエージェント型AI機能は、リリース時点では韓国と米国でのサポートとなっており、今後さらに他の市場へ拡大される予定だ。
こうしたSamsungの取り組みを競合と比較すると、その立ち位置がより鮮明になる。AppleはSafariとHandoffによりiPhone・Mac間の継続性を実現しているが、その恩恵はAppleエコシステム内に限定される。Google ChromeはGoogleアカウントでタブを同期でき、別デバイスで開いていたタブを参照できるが、AppleのHandoffのように作業中のページを即座に引き継ぐ仕組みとは少し性質が異なる。
Perplexity自身のCometもAI機能において先進的で、iOS向けに今年3月18日にアプリも提供しているが、ユーザーが自ら選んでインストールする必要がある。Samsungは利用にあたって設定や機能有効化は必要となるものの、OSやデバイス統合を前提とした提供形態という点で性質が異なる。
SamsungはAndroidスマートフォンとWindowsという、より実務的な組み合わせで直結させてAIを統合することで、特定エコシステムに依存しない独自のポジションを確立する狙いがありそうだ。Perplexityの最高事業責任者であるDmitry Shevelenkoは、単一の囲い込み型アシスタントの時代の転換を示唆(*2)しており、複数のAIモデルが連携するマルチモデル前提の設計思想が背景にあるとみられる。
ブラウザが「情報へのアクセス手段」から「情報を処理するエージェント」へと機能拡張する潮流の中で、単一のAIに依存しないマルチモデル前提の設計がどこまで実用レベルに到達するか、次にどの領域へ展開するかが引き続き注目される。
・Samsung Japan リリース
https://news.samsung.com/jp/samsung-browser-for-windows
*1:Perplexity公式「Perplexity APIs Power AI Browsing on Samsung Devices」
https://www.perplexity.ai/hub/blog/perplexity-apis-power-ai-browsing-on-samsung-devices
*2:報道(Android Headlines)
https://www.androidheadlines.com/2026/02/galaxy-s26-perplexity-ai-system-level-integration.html
