- ■ 個人向けクラウドストレージの利用者は2016年度で3,907万人、市場規模は616億円
- ■ クラウドストレージ有料サービス利用率は10.6%、無料サービスを含めると約4割が利用
- ■ Google Drive、アップルiCloudが同数で利用者数トップ、MS OneDrive、Dropboxが続く
- ■ 顧客満足度1位はSugarSyncで86.8P、2位はBox、3位Google Drive、4位Dropbox
- ■ グーグルとマイクロソフトユーザーは文書保管、アップルユーザーは写真・動画保管が主用途
株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は4月26日、クラウドストレージサービスの市場動向に関する調査結果をまとめた。
■ クラウドストレージサービスの利用者は2016年度で3,907万人、市場規模は616億円
個人ユーザーが保有する写真・動画・音楽・文書などのデジタルデータの容量は年々増え続けており、貴重なデータを消失させないために様々な保存方法が模索されてきた。かつては、パソコン上の膨大な電子データを外付けハードディスクなどに保存してバックアップを取る方法が主流だったが、ここ数年でクラウド型オンラインストレージサービスが多くの事業者から無料で提供されるようになり、クラウド上に電子データを保管するユーザーも増えている。
ICT総研の調査・推計では、2013年度(2014年3月末)に2,364万人だった日本国内の個人向けクラウドストレージサービス利用者は、2016年度に3,907万人となり、2018年度には4,705万人へと増える見込みだ。このうち有料サービスの利用者数は、2016年度で1,065万人に達し、2018年度に1,310万人へと増加する。さらに、有料サービスの利用者が増加することで、個人向けクラウドストレージサービスの市場規模は2016年度で616億円、2018年度には747億円に拡大する見込みである。
■ クラウドストレージ有料サービス利用者は全体の10.6%、無料サービスを含めると約4割が利用
ICT総研では個人向けクラウドストレージサービスの利用実態を把握するため、2016年4月21~22日にインターネットユーザー 2,151人へのWebアンケート調査を実施した。その結果、「現在有料サービスを利用している」と回答した利用者は10.6%に留まった。また、「現在無料サービスを利用している」利用者は25.8%であり、有料サービス利用者の倍以上存在することが判明した。多くのサービス事業者は自社のサービスを優先的に導入してもらうため、1ギガバイト〜10ギガバイト程度までの利用を無料とするサービスを行っており、多くのユーザーがこれらの無料サービスを導入している。
「有料サービス」「無料サービス」の利用者を合わせると36.5%となるが、まだストレージサービスを利用していない非利用者は全体の63.5%を占めている。今後クラウドストレージ市場を拡大させるためには、まだ利用していない潜在ユーザーを開拓することが必要である。
また、有料サービス利用者のうち、毎月300円〜1,000円までの料金を払っているユーザーが全体の49%を占めており、平均的な月額利用料金は500円程度となっているようだ。
■ Google Drive、アップル iCloudが同数で利用者数トップ、マイクロソフト OneDrive、Dropboxが続く
インターネットユーザー2,151人へのアンケート調査の結果、クラウドストレージサービスの中で最も利用者数が多かったのは、Google DriveとiCloud Drive(アップル)で280人、次いでマイクロソフトOneDriveの利用者が275人、クラウドストレージサービスの老舗とも言えるDropboxが4位で262人だった。米国系企業のサービスが上位を占める中で、ヤフージャパンが提供するYahoo!ボックスが189人で5位につけている。この他、Evernoteが6位で124人、Amazon Cloud Driveが92人という回答結果となった。多くのユーザーは複数のサービスを併用して使い分けているが、今後はサービスの取捨選択が進み、大手事業者のシェアがさらに高まると思われる。
■ 顧客満足度1位はSugarSync、2位以下はBox、Google Drive、Dropbox
続いてクラウドストレージサービスの顧客満足度アンケートでは、SugarSyncが最も満足度ポイントが高く86.8ポイントを記録した。2位はBox社のサービスであるBoxが77.3ポイントで2位、Google Driveが76.1ポイントで3位、Dropboxが75.1ポイントで4位となった。これに対してアップルのiCloud Driveは71.3ポイント、Yahoo!ボックスは68.5ポイントで下位に低迷している。
アンケート結果によれば、満足度の高い事業者のサービスは、「データ保管容量が大きい」「ユーザーインターフェースが良い」「データの共有がしやすい」といった点が評価されている。
サービス利用者がクラウド上に保管しているデータ量を見ると1〜10ギガバイトが全体の49%、1ギガバイト未満が37%となっている。今のところ無料サービス利用者が多いため保管量は少ないが、今後データ量が増えるにしたがって有料サービスに移行するユーザーも増加しそうだ。
■ グーグルとマイクロソフトユーザーは文書保管、アップルユーザーは写真・動画保管が主用途
クラウドストレージサービスの主な用途は、文書の保管や、写真、動画、音楽コンテンツの保管などである。アンケート調査の回答結果では、Google DriveユーザーやマイクロソフトOneDriveのユーザーは文書保管のためにストレージサービスを利用しており、iCloud Drive、Dropbox、Yahoo!ボックスのユーザーは写真・動画を多く保管する傾向が見られた。これはGoogle DriveやマイクロソフトOneDriveのユーザーがビジネス利用の頻度が高いのに対して、iCloud Drive、Dropbox、Yahoo!ボックスのユーザーは個人のエンターテイメント利用の度合いが大きいためと思われる。
また、どのサービスにおいても写真・動画の保管を目的とした利用者が多く、容量の大きい写真・動画を保管するためのサービスとしてクラウドストレージサービスのニーズはますます高まっていくだろう。音楽コンテンツは、クラウドストリーミングで利用されることが多くなってきたため保管のニーズが低下するが、写真・動画コンテンツは自分で撮影したものを端末やストレージ上に保管しておく必要がある。そのためクラウドサービス事業者は、写真・動画を無料で保管するサービスの提供に注力しており、写真・動画管理アプリがユーザー囲い込みのための重要な手段として位置付けられている。
今後は写真、動画、重要文書などを安全に保管するツールとしてクラウドストレージのニーズはさらに高まり、様々なクラウドサービスの中で最も重要なサービスの一つとして普及していくことは間違いなさそうだ。
【本資料の調査結果・推計データについて】
* この調査は、クラウドストレージサービス運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー2,151人へのWebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものである。
* 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
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