【業界トピックス】ドコモ決算、非通信領域の成長が鮮明に。金融FG設立とAI投入で再成長へ

ドコモ決算、非通信領域の成長が鮮明に。金融FG設立とAI投入で再成長へ

 ドコモは2026年5月8日、2025年度決算を発表した。将来の収益基盤強化に向けた販促費やネットワーク投資の積極投下が利益を圧迫する一方、スマートライフ事業の高成長と金融事業の分離独立により、事業ポートフォリオの再構築が加速している。親会社NTTも過去最高収益を更新したものの、モバイル事業等の環境変化を受け、中期財務目標の連結EBITDA 4兆円達成を2030年度へと3年先送りにした。

ドコモ決算は、販促・NW投資先行で増収減益
 NTTドコモの2025年度連結決算は、営業収益6兆4,581億円(前年比3.9%増)、営業利益9,421億円(同7.7%減)の増収減益となった。スマートライフ事業や法人事業の伸長に加え、M&Aによる成長が寄与し増収を確保したものの、販促強化費用の1,009億円増加や端末購入プログラムの影響により、EBITDAおよび営業利益を押し下げた。

セグメント別では、コンシューマ通信事業の営業利益が前年比35.3%減の3,046億円と落ち込んだ。しかし、バリューを軸としたマーケティング戦略への転換により、MNPは2025年度下期にプラス転換を果たしている。2025年6月導入の新料金プラン「ドコモ MAX」が2026年3月に300万契約を突破するなど、ARPUに回復の兆しも見られる。

対照的にスマートライフ事業は営業利益が前年比29.6%増の3,027億円と高成長を維持。住信SBIネット銀行の連結子会社化やdカード等の決済サービスの拡大が増益を牽引した。同社は2026年7月、金融事業を分離独立させた「NTTドコモ・フィナンシャルグループ」を設立予定で、決済と銀行を一気通貫で提供し、サービス間連携を強化して事業成長の加速を狙う。顧客一人ひとりの理解を深めてくらしに寄り添う「金融AIエージェント」の展開も視野に入れており、新たな顧客体験の創出を目指す。
2026年度の業績予想としては、営業収益は前年比5.6%増、営業利益は前年比0.1%増への回復を見込む。

NTTグループでは過去最高収益も、中期目標を見直し
 親会社NTTの2025年度連結決算は、営業収益14兆4,091億円(前年比5.1%増)と過去最高収益を更新した。データセンター・グローバル事業が業績を牽引した一方、国内モバイル事業の収益性悪化が重石となり、中期経営戦略で2027年度としていた連結EBITDA4兆円の達成目標を、3年先送りの2030年度へと変更した。市場環境の変化と投資負担増を踏まえ、収益指標と株主還元方針の再設計に踏み込んだ形だ。

こうした環境下でNTTグループは、従来の通信料収入に依存したモデルから、AIとインフラを融合させた付加価値モデルへの転換を急ぐ。ドコモが2026年夏頃のサービス開始に向け開発を進めるAIエージェント「SyncMe(シンクミー)」では、パーソナライズされた体験を提供するテレコム発のBtoC新モデルを軸に、生活に溶け込む新たな顧客接点の創出を目指す。加えて、IOWN構想の商用展開やdocomo Starlink Directの提供開始など、次世代インフラを起点とした戦略も具体化しつつある。

2025年度決算は、ドコモが通信単体での苦戦を鮮明にする一方、金融分離・スマートライフ拡大・AIエージェント投入という次の成長軸が同時に動き出した転換点といえるだろう。グループ全体でも中期目標を現実路線へと再設定しており、IOWNとAIを中核とした新たな価値創造モデルへの移行が本格化するとみられる。

参考:NTT2025年度決算
https://group.ntt/jp/ir/library/presentation/financial/

https://denpanews.jp/

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