NTTグループ「AIOWN」発表、Rapidusへ液冷DC提供も
NTT、NTTデータグループ、NTTドコモビジネスの3社は2026年4月27日、生成AIの急速な普及に対応するAIネイティブインフラ「AIOWN(エーアイオン)」の展開を発表した。GPUなどの計算資源、ネットワーク、電力を統合管理し、デバイスからエッジまでを含むセキュアなAI利用環境を提供するというものだ。また、同日にNTTドコモビジネスは最先端半導体企業のRapidus(ラピダス)株式会社への液冷データセンター提供も発表した。
AIOWN登場の背景には、生成AIの利用形態の変化がある。AIの企業への普及が進むにつれ、学習フェーズから、日常業務でモデルを活用し続ける推論フェーズへと比重が移っている。NTTが公表した資料*1では、AIの推論ワークロードは2025年から2030年にかけて年率35%で成長し、2030年にはデータセンター全体の電力需要の4割超を占める見通しだ。さらにフィジカルAIの拡大により、低遅延かつ高セキュリティなインフラへの要求はいっそう高まっている。

AI需要拡大に対応、国内DC容量を3倍超へ
AI向けGPUの高性能化に伴い、1ラックあたりの発熱量は急増しており、従来の空冷方式では対応が困難になりつつあるという。NTTはサーバー内に冷却液を循環させる液冷方式で1ラックあたり最大135kWに対応し、冷却電力を最大60%削減できるとしている。すでにグローバルで250MW超の液冷設備を提供している知見を活かし、国内のIT電力容量を現在の約300MWから、2033年度までに3倍超の約1GWへ引き上げる計画だ。
国内では、以下の主要拠点を含め、今後も毎年順次新設・拡張を進める。
主な国内新設・拡張拠点(いずれも液冷対応)
・東京都心(品川区):JR山手線沿線の駅から徒歩約5分の立地。IX接続点に近接し、低遅延接続を確保。2029年度下半期サービス開始予定。
・栃木市:栃木インター産業団地に「栃木TCG11データセンター」を整備。IT電力容量は最終的に約100MWへ拡張予定。2029年竣工予定。
・福岡市:海底ケーブル陸揚げ局と接続する拠点を整備。アジアとの国際接続と地理的分散を担う。2029年竣工予定。
・白井・印西エリア(千葉県):国内最大級のデータセンターキャンパスを段階的に整備。エリア全体で合計約250MWを確保する計画。2030年以降竣工予定。
また、これらに合わせて設置環境の制約や一時的な需要にも柔軟に対応できるコンテナ型のデータセンター提供も想定されている。
ネットワーク面でも、AI活用を前提とした構成が検討されている。データセンターやクラウドを横断するNaaS(Network as a Service)型の提供を予定しており、帯域の細かな制御やセキュリティ機能の統合を盛り込む。さらに、光電融合技術を活用したIOWN APN基盤を、2027年度までに47都道府県へ展開する計画も示された。

Rapidusへ液冷DC「Green Nexcenter」提供、製造リードタイム短縮へ
同日に発表されたのが、NTTドコモビジネスによるRapidusへの液冷データセンター「Green Nexcenter」の提供だ。次世代半導体の設計や製造工程には膨大な計算リソースが必要で、従来の空冷方式では冷却効率と消費電力の両立が課題となっていたが、液冷方式の導入により消費電力とCO2排出量を抑えながら製造プロセスのTAT(Turn Around Time:着手から完成までの所要時間)短縮を目指す。この取り組みは「HOKKAIDO IOWN CAMPUS」構想の一環でもあり、2026年度にはIOWN光コンピューティングを活用したプラットフォーム上で、半導体産業向けアプリケーションの実証実験も実施予定だ。
*1推論ワークロードの成長率(年率35%、2030年にDC電力需要の4割超)はマッキンゼーのデータセンター需要モデルに基づくデータをNTTが引用したもの
出典
・NTTドコモビジネスが最先端半導体企業Rapidusへ液冷データセンターを提供
・AI活用の進展に合わせたリソース最適化・オペレーションを実現するAIネイティブインフラ「AIOWN」の展開
・NTTのAIネイティブインフラ
https://denpanews.jp/
