ソフトバンク、営業利益1兆円突破で過去最高更新
ソフトバンクは5月11日に2026年3月期の決算を発表した。売上高7兆386億円(前年比7.6%増)、営業利益1兆426億円(同5.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期純利益5,508億円(同4.7%増)となり、すべて過去最高を更新した。前中期経営計画において2度実施した上方修正をさらに上回る水準で着地した。
増益の主因は、安定した収益を維持するコンシューマ事業に加え、成長を牽引したエンタープライズ事業と、収益化が急加速したファイナンス事業の躍進にある。
セグメント別の状況をみると、連結営業利益の約53%を占めるコンシューマ事業が5,508億円(同3.8%増)を記録した。2026年3月末時点のモバイル契約数は4,132万件に達しており、長期利用ユーザーを重視する獲得方針への転換が解約率の低減に繋がり、安定的な収益を支えた。
エンタープライズ事業は1,924億円(同13.0%増)を計上。国内企業のDX・AI投資需要が拡大を背景に、クラウドやAI・IoTを含むソリューション等が前年比13%増収し牽引した。
ファイナンス事業は、営業利益863億円(同107.1%増)と約2倍となった。PayPayグループにおける決済取扱高の拡大に加え、付加価値サービスの収益化が加速したことが寄与している。一方、メディア・EC事業はアスクルでのシステム障害や生成AI等へのコスト増が響き、2,404億円(同7.1%減)と減益を余儀なくされた。
成長戦略「Activate AI for Society」全事業でAIを実装、エンタープライズが牽引役
宮川社長は新中期経営計画について「AIは推論中心の時代に移行しており、構築フェーズから社会実装・収穫フェーズに入った」と現状を総括した。その上で、通信事業の安定収益を土台に、AIインフラを基点に、AIサービス、既存のファイナンス・メディア領域、はAX(AI Transformation)・GX・新領域の全事業にAIを融合させて進化させる成長戦略「Activate AI for Society」を推進する。

戦略の牽引役となるのがエンタープライズ事業だ。これに伴いセグメント構成を見直し、これまで「その他」に区分されていた商用フェーズのAIデータセンターやクラウドソフトウェア開発を同事業へ統合した。さらに「クラウド・AI」を独立したサブセグメントとして開示し、成長ドライバーとしての可視化を図る。このサブセグメントには、AIデータセンター/ソブリンクラウド/Crystal Intelligence/セキュリティなどの注力商材が集約される。
数値目標としては、現在MicrosoftやGoogleなどの外部商材を中心に2,437億円の売上規模を持つクラウド・AI領域を、中期経営計画の最終年度である2030年度(2031年3月期)までに2025年度比で倍増させる計画だ。営業利益についても、過去5年間の年平均成長率10%から15%への引き上げを目指す。

インフラ整備も具体化している。100台超のGPU計算基盤が今年度中に回収フェーズへ移行するほか、苫小牧AIデータセンターは今年度中に50MW(将来的に300MWへ拡張)の規模で開業を予定している。大阪堺AIデータセンターは来年度、140MW規模で稼働を開始する計画だ。これらの拠点と自社開発の「Infrinia AI Cloud OS」を組み合わせ、重要インフラ15分野を担う既存取引先約3,000社へAIサービスを展開する。また、LLM「Sarashina」には業界・個社に特化したモデルの提供により収益化も図るとした。
サービス展開においては、情報の機密レベルや企業規模に応じた一気通貫の体制を構築する方針だ。高セキュリティなソブリンクラウドや、大規模企業向けの経営変革支援AI「Crystal intelligence」などを柔軟に提供し、多様な顧客ニーズに対応していくとした。
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