ソフトバンク、著作権保護とAI開発を両立する基盤「GaranAI」ベータ版提供開始
ソフトバンクは7月22日、コンテンツホルダーの著作権を保護しながらAI開発事業者にデータを提供するプラットフォーム「GaranAI(ガランエーアイ)」のベータ版提供を開始したと発表した。同日から利用申し込みの受け付けを始めている。新聞社や出版社などから預かったデータを加工した上でAI開発事業者に提供し、利用実績に応じてコンテンツホルダー側に利用料を分配する仕組みだ。2027年1月以降の正式提供を目指す。
背景にあるのは、生成AIの学習データを巡る二つの課題だ。大規模言語モデル(LLM)の性能向上には大量かつ高品質な学習データが欠かせないが、日本語データは英語や中国語に比べて量が少なく、日本特有の慣習や文化的なニュアンスの理解が不十分になりやすいとされる。一方で、著作物が無断でAI学習に使われる懸念も強まっており、コンテンツホルダー側はデータ提供に慎重にならざるを得ない状況があった。GaranAIは、この両者の利害を仲介する形で設計されている。
なお「GaranAI」はベータ版時点でのコードネームであり、正式提供時には名称が変更される可能性があるとしている。
仕組みはこうだ。まず新聞社などから預かった「預託データ」を、大意や事実関係を保ったまま表現や文章構造を変換し、元データへの復元が困難な「派生データ」に加工する。データ利用事業者は、この派生データをさらにAI開発向けのフォーマットに変換した「加工データ」を利用する。元の著作物を直接渡すのではなく、加工を挟むことで不正利用のリスクを抑えつつ、データ利用事業者側には日本語として自然で信頼性の高い学習データを提供する狙いだ。

ベータ版には共同通信社のほか、産経新聞、毎日新聞など計8社がデータ提供社として参加する予定。ソフトバンクは共同通信社と2025年5月に業務提携契約を締結しており、今回のベータ版はその延長線上に位置づけられる。今後は新聞社や出版社に限らず、テレビ、ラジオ、ウェブメディア、博物館、教育機関、地方自治体など幅広い業種からのデータ預託を目指すという。
品質面では、ソフトバンク社内の専任チームがデータの収集から加工までを一貫して担当し、プロンプトインジェクション(AIに不正な指示を埋め込む攻撃手法)などの悪意あるデータの混入リスクを低減する体制を敷く。今後追加予定の機能として、文章の依存関係を解析してハルシネーションを防ぐロジックや、独自のトレンド情報をAPIで提供する機能を挙げている。
生成AIの日本語対応力は国内企業の実務利用に直結する課題であり、良質な学習データの確保はサービス精度を左右する要素になる。今回の枠組みが実際にどれだけのデータ提供社と利用事業者を集められるかは、日本語AIの今後の競争力にも影響を与えそうだ。
