【業界トピックス】NECが製造業向けAI変革理念「MX」を発表

NECが製造業向けAI変革理念「MX」を発表

日本電気株式会社は2026年7月21日に、製造業の企業変革に向けた新たなコンセプト「マニュファクチャリングトランスフォーメーション(MX)」を発表した。この「MX」とは、製造業における競争力の要となる5つのバリューチェーンを、AIの活用を前提とした「AIネイティブ」な状態へと根本から進化させる取り組みを指す。近年の世界情勢においては、地政学リスクの急増や地球規模の気候変動による影響の激甚化、さらには各種原材料やエネルギー価格の高騰、急速な技術刷新など、先行きが不透明な環境が定着しつつある。このような目まぐるしい市場変化に対応するため、製造業には常に変革を続けながら現状を迅速に把握し、戦略の策定から意思決定、実行にいたる一連のサイクルを飛躍的に高速化することが求められていた。従来の単なる業務プロセスの部分的な効率化にとどまらず、最初からAIが存在することを中心に据えて企業構造そのものを再構築する重要性が高まったことが、今回の新たなコンセプトの策定へとつながった。

 同社が掲げる具体的な変革のプロセスでは、長年にわたって多様な製造業の現場で積み重ねてきた業務改革のノウハウと、自社内で先行して実践してきたAIトランスフォーメーション(AX)の知見を強固に融合させた製造業特化型のAIエージェントが各業務へ組み込まれる。このAIエージェントには、生成AIをはじめ画像認識、需要予測、工程の最適化、複雑な調整交渉などの高度な要素技術が実装されており、専門的な知識を代行・補完することで現場の従業員がより重要度の高い判断や意思決定に専念できる仕組みがつくられた。最適化の対象となるのは、技術開発を担うエンジニアリングチェーン、物流や調達をつなぐサプライチェーン、実際の製造を行うプロダクションチェーン、出荷後を支えるサービスチェーンの4つに、同社が独自に環境配慮の観点を加えたサステナブルチェーンを加えた合計5つのバリューチェーンである。これら全体をAIでつなぐことにより、サプライチェーンにおける障害への耐性や復元力を示すレジリエンスを向上させるとともに、経営判断の精度とスピードを大幅に高める体制が整備される。

 さらに、同社は自らを「最初の顧客(クライアントゼロ)」と位置づけ、自社工場や社内インフラにおいて先行してAIネイティブ化を実践・検証し、その過程で最適化されたプロセスや知見を顧客向けの価値創造モデル「BluStellar Scenario」を通じて提供していく方針を示した。企業の強みの源泉である設計データや現場の技術情報といった機密データを安全かつ確実にAIが取り扱えるよう、AIの挙動やコストを制御する高度なガバナンス環境も提供される。また、構想段階のコンサルティングから具体的なシステムの構築・実装、運用に至るまでを一貫してサポートするサービス基盤を基軸に、今後は5つのバリューチェーンそれぞれにおける具体的な変革シナリオの明確化や、業界特化型の各種AIエージェントの提供を順次推し進めていく考えだ。

 こうした包括的な変革アプローチを強力に後押しするのが、同社の掲げる総合的な価値創造モデル「BluStellar」であり、ビジネスモデル、最新テクノロジー、そして組織や人材育成という3つの重要な軸を相互に連動させながら企業全体のデジタルシフトを包括的に導く役割を果たす。実際の製造現場においては、ベテラン技能者の長年の勘や熟練のノウハウが特定の個人に依存してしまう「属人化」の問題が長年の課題となってきたが、最先端のAIエージェントがこれらの高度な現場知見をデータとして学習・標準化することで、次世代へのスムーズな技術承継や熟練度に左右されない生産クオリティの平準化が実現可能となる。また、グローバルに広がる複雑な供給網において予期せぬ部材不足や物流の停滞といった問題が発生した場合でも、AIがリアルタイムで代替の調達ルートや最適な生産計画の修正案を即座に提示するため、トラブルによる損失を最小限に抑えた柔軟な運用が可能となった。さらに、二酸化炭素排出量の削減や省エネルギー化が強く求められる現代のものづくりにおいて、サステナブルチェーンの可視化と制御は企業の社会的価値を高めるうえで不可欠であり、環境負荷の低減と収益性の両立という難題に対する明確な解をもたらす。

 この新たな変革コンセプトの展開により、変化の激しい現代において日本の製造業が持続的な成長を遂げ、国際市場における強力な競争力を確立していくことが期待される。

参考URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001395.000078149.html

https://denpanews.jp/

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