【業界トピックス】フォーミュラカーレースでAPNを活用した次世代型分散AI処理を実証へ。IIJや東電PGなど6社

フォーミュラカーレースでAPNを活用した次世代型分散AI処理を実証へ。IIJや東電PGなど6社

ノーチラス・テクノロジーズ、IIJ、東京電力パワーグリッド、中部電力パワーグリッド、富士通、1FINITYの6社は7月27日、ワット・ビット構想の実現に向けた次世代分散型AI処理インフラの実証実験を開始すると発表した。富士スピードウェイのフォーミュラカーレース「KYOJO CUP」を舞台に、車載カメラの4K映像やテレメトリーデータを東京電力・中部電力の供給エリアに分散配置したGPUサーバへ光ネットワーク経由で伝送し、電力需給に応じてGPUサーバの稼働タイミングを制御できるかを検証する。

実証は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査事業の一環として行う。ワット・ビット構想は、データセンターなど電力消費の大きい設備を電力供給に余裕のある地域に分散配置し、電力網を効率的に活用しようという政府主導の取り組みだ。

異なる周波数をまたぎ分散GPUサーバーの一体的なAI処理運用を実証
実証の核となるのは、東京電力パワーグリッドと中部電力パワーグリッドが保有する光ファイバーケーブルに、富士通と1FINITYの通信装置を組み合わせて構築する「オールフォトニクスネットワーク(APN)」だ。APNは光信号と電気信号の変換をできる限り減らし、低遅延・大容量・低消費電力の通信を実現する次世代通信基盤のことで、この上で、周波数の異なる東京電力エリア(50Hz)と中部電力エリア(60Hz)にまたがってGPUサーバを一体的なAI処理基盤として共同運用する。参加各社によると、こうした取り組みは国内初だという。

この基盤を、実際のレース運用で試すのが今回の実証だ。レース中の車載カメラとテレメトリーユニット*1から取得した4K映像や速度・エンジン回転数などの走行データは、APNを介して両エリアのGPUサーバのいずれでも処理できる形で伝送される。AI需要の拡大でGPUサーバの電力負荷が今後増えると見込まれる中、その負荷を需給調整に活用できるかを見極める狙いだ。将来的には電力に余裕のある地域へAI処理を移し、電力設備を効率的に使うワット・ビット連携の実現につなげたい考えだ。

実証実験のインフラ構成図

システムの中核データベースには、国産の超高速リレーショナルデータベース「Tsurugi」を採用した。NEDOの支援を受けて開発されたオープンソース製品で、高いトランザクション処理性能とスケーラビリティを特徴とする。

各社の役割は、ノーチラスがデータベース提供と技術支援、IIJが場内ネットワーク構成・ハードウェア調達とGPUサービスのインテグレーション、東京電力パワーグリッドと中部電力パワーグリッドが光ファイバーと設備設置場所の提供、富士通と1FINITYが光ネットワークインターフェースカード(光NIC)*2提供と光伝送ネットワーク構築を担う。

実証期間は2026年8月から2027年3月まで。8月開催のKYOJO CUP第3戦から開始する。使用する光NICは1FINITYが開発中で、2026年10月に販売開始を予定する製品だ。詳細な検証結果は、2026年秋以降に幕張メッセで開催される映像関連の展示会「Inter BEE 2026」などで発表するとしている。

AI活用の広がりに伴い、データセンターの電力需要は世界的に増加傾向にある。電力網とコンピューティング資源を柔軟に連携させる技術が確立されれば、通信事業者やデータセンター事業者の電力コスト・設備投資の最適化につながる可能性があるだろう。

参照:IIJ 2027/07/27リリース

*1 テレメトリーユニット:レース中の車両の速度やエンジン回転数、温度などのデータを無線でピットへ送信する車載装置
*2 光NIC:サーバに搭載され、ネットワークとの接続およびデータの送受信を担うハードウェアで、光信号を直接処理することで長距離・超高速通信を実現するもの

https://denpanews.jp/

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