国内7社連携でオール光通信設計指針を国際標準化へ
KDDI株式会社、NTT株式会社、1FINITY株式会社、日本電気株式会社、楽天モバイル株式会社、沖電気工業株式会社、住友電気工業株式会社の国内主要7社は2026年8月21日に、AI社会を支える低遅延・低消費電力なネットワークの設計指針を策定し、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU-T)において2026年8月13日に国際標準化を達成したと発表した。この設計指針は、総務省が主導して推進する「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略 - Beyond 5G推進戦略2.0 -」における戦略分野であるオール光ネットワーク(APN)の社会実装と普及を強力に後押しするものだ。現代社会では人工知能(AI)技術が急速に進化し、生成AIや自律制御を行うフィジカルAIなどが実社会へ急速に浸透しつつある。こうしたAI技術を本格的に稼働させるためには、遠隔地に設置された無数のセンサーやエッジロボットから集約される膨大なデータを即座に収集・分析し、リアルタイムで現場へフィードバックする高度な情報通信インフラが不可欠となる。従来の電気信号を中心とした通信ネットワークでは、データトラフィックの爆発的な増大に伴う遅延の発生や消費電力の急増が深刻な課題となっており、光技術を通信処理の隅々まで適用することで圧倒的な大容量通信、極限までの低遅延、劇的な省電力を実現するAPNへの世界的な期待が急速に高まっていた。

次世代通信基盤の早期実現に向けては、これまでもAPNの普及を目的とする国際的なコンソーシアム「IOWN Global Forum」において、システムアーキテクチャや機能要件といった共通技術文書の策定が進められてきた。さらに、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が主導する「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」の委託研究「オール光ネットワーク共通基盤技術の研究開発」の一環として、通信事業者各社が運用する異なるAPN同士を安定的かつシームレスに相互接続する光ネットワークフェデレーション技術の研究開発や実機を用いた検証実験が精力的に進められてきた経緯がある。しかしながら、こうした特定のフォーラムや枠組みに参加していない海外の通信キャリアや各国の機器メーカーを含め、地球規模での相互運用性を確保しグローバルに技術を普及させていくためには、世界的に広く合意された中立的な共通設計指針の確立が大きなハードルとして立ちはだかっていた。この課題を解決するため、国内の通信事業者と通信機器メーカーが一致団結して設計指針の策定を主導し、ITU-T勧告「Y.3335」としての正式承認を取りまとめた形だ。この指針により、事業者が異なる通信環境下であっても低遅延かつ低消費電力な光伝送路を迅速に構成するための要件が世界共通の基準として明確化された。
今回体系化された設計指針は、これまで国内企業が積み重ねてきたAPNに関する豊富な運用知見や、光ネットワークフェデレーション技術の高度な研究成果を、特定の組織や実装アーキテクチャに依存しない汎用的なガイドラインとして再構築したものである。この共通指針がITU-Tで国際標準として承認されたことにより、複数事業者にまたがるAPNサービスの構築が極めて容易となり、国境や企業ネットワークの垣根を越えた広域拠点間において、超高速かつ極めて環境負荷の低い通信サービスの利用が拡大していく見通しだ。今後7社は、これまでに培ってきた世界屈指の光伝送技術や標準化ノウハウを最大限に活用し、国内外における標準化推進活動を一段と強化していく計画である。ITU-Tの枠組みにおいては、2028年10月を目標時期に設定し、低遅延・低消費電力ネットワークの詳細な機能アーキテクチャに関する新たな勧告の策定を目指して研究開発を継続していく方針だ。
世界規模で通信データ量が爆発的に増大し、脱炭素化と高度なデータ処理の両立が急務となる中、光技術を基盤とした強固なネットワーク構造の確立は国際社会全体の持続的発展に直結する。国内の主要通信・電機メーカーが連携して主導したこの国際標準化の取り組みは、AI時代の本格的な到来に対応する持続可能な通信インフラを世界規模で普及させるための極めて重要な転換点となる。
参考URL:https://group.ntt/jp/newsrelease/2026/08/21/260821a.html
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