イーソルとサイバートラストがフィジカルAI向け開発基盤を共同開発へ
サイバートラスト株式会社は2026年7月10日に、イーソル株式会社とフィジカルAIの実現に向けた日本発のSDx開発基盤を共同開発することで合意したと発表した。両社はそれぞれの得意分野や先進的な知見を融合させることにより、仮想環境においてリアルタイムOSとLinuxが安全に共存・協調動作するミックスド・クリティカル環境を構築することを目指している。この新しい開発基盤の提供開始は2026年度内を目標としており、自動運転や産業用ロボット、次世代の医療機器など、高度な安全性とミリ秒単位のリアルタイム性が同時に求められる最先端の組み込みシステムや重要インフラ分野に向けてグローバルに展開される見通しだ。

この共同開発が行われる背景には、自動車や製造装置をはじめとする様々な物理システムに最先端のAIを融合させる「フィジカルAI」や、ハードウェアの機能をソフトウェアによって柔軟に定義・拡張する「SDx」の急速な進展がある。こうした次世代のシステムにおいては、誤作動が許されない極めて厳格な制御を行うリアルタイム性と、豊富なアプリケーションや複雑なネットワーク処理、膨大なAIの推論モデルを実行できる汎用性とが同時に必要とされる性質を持つ。しかし、これら性質の異なるソフトウェア群を単一のハードウェア上で干渉させることなく安全に分離・共存させることは技術的に極めて困難であり、システム全体の信頼性やセキュリティの確保が世界的な課題となっていた。そこで両社は、ハードウェアの依存度を下げつつ、機能安全の要件とオープンソースの柔軟性を高次元で両立できる強固な国産ソフトウェア基盤の必要性が高まっていると判断し、今回の協業に至ったという。
共同開発される新しい開発基盤は、イーソルが提供するスケーラブルリアルタイムOS「eMCOS(エムコス)」と、サイバートラストが誇るIoT・組み込み機器向け高信頼Linux OS「EMLinux(エムイーリナックス)」を主軸として統合するものだ。「eMCOS」は高度なリアルタイム性能とマルチカーネルアーキテクチャ、さらに業界トップクラスの厳格な機能安全技術を備えており、これをベースにすることで高信頼な制御処理を完全に保証する。「EMLinux」は長期間にわたるサポート体制や、脆弱性に迅速対応する産業グレードのセキュリティ更新基盤、そして広範なLinuxエコシステムの活用力を備えており、高度な通信機能や開発効率の劇的な向上をもたらす。これら2つの環境がハイパーバイザなどの仮想化技術を介して見事に共存するミックスド・クリティカル基盤を確立することにより、相互の悪影響を排除した極めて安全なソフトウェア実行環境が実現される。さらに、今回の共同開発では単に2つのOSを組み合わせるだけでなく、将来的なハードウェアの進化やプロセッサアーキテクチャの変更にも柔軟に適応できる拡張性を持たせる設計がなされている。
この協業により、両社は次世代の高度なフィジカルAI実装と産業DXを支える強固なセキュア基盤を国内に醸成し、グローバル市場における日本のものづくりとソフトウェア産業の競争力を強力に後押ししていく。
参考URL:https://www.cybertrust.co.jp/pressrelease/2026/0710-esol-sdx.html
https://denpanews.jp/
