【業界トピックス】総務省、情報通信成長戦略のロードマップ策定

総務省、情報通信成長戦略のロードマップ策定

 総務省は6月25日、「情報通信成長戦略官民協議会」の中間取りまとめを公表した。政府の日本成長戦略本部が掲げる17の重点戦略分野において、情報通信を経済および安全保障の基幹インフラと再定義し、供給力の抜本的強化に乗り出す。2040年度までを見据えた官民投資ロードマップでは、オールフォトニクスネットワーク(APN)、海底ケーブル、次世代ワイヤレスの3技術を重点分野に特定。戦略的な投資によって、製造・サービス・消費が好循環するエコシステムの構築を図る。

こうした戦略が必要とされる背景には、深刻なデジタル収支の悪化がある。資料によると、財務省国際収支統計に基づく2024年のデジタル赤字(クラウド利用料やライセンス料等)は約6.7兆円に達し、前年比で約0.9兆円拡大した。また、情報通信市場における日本企業の世界シェアは、おおむね10%前後かそれ以下に留まり、特にクラウドや通信基盤関係・端末関係での低迷が目立つとしている。

重点3技術のロードマップ:戦略投資と横断的支援で、デジタル収支の黒字化と供給力強化へ

こうした状況を踏まえ、情報通信分野では、陸・海・空に対応する3つの技術が重点的に取り組むべきものとして選定された。

「陸」の基盤となるAPNは、AIの普及に伴うトラフィック増に対応するAI社会の基幹と位置づけ、2040年度までに官民で5.9兆円の投資を予定、36.2兆円の経済波及効果を狙う。需要が顕在化している北米市場でのシェア拡大を梃子に国際市場の獲得につなげ、2030年までに光伝送装置市場でのグローバルシェアを現在の約5%から10%へ引き上げることを目標とした。
また、データセンターが関東圏等に集中する構造的課題に対応するため、APNを活用した電力系統と通信基盤の一体整備「ワット・ビット連携」による分散データセンターの展開を進め、地方発でAIサービスの実装を目指す官民連携基盤「APN×ワット・ビット×AI戦略(仮称)」の推進を挙げている。

「海」のインフラである海底ケーブルは、東アジアにおけるデータハブ機能の拡大を軸に、データセンターやクラウドサービスの国内整備を誘発し、AIの発展やDX推進を支える基盤と位置づける。2040年度までに2.4兆円を投じ、グローバルでの総延長シェアを現状の20%から35%程度へ引き上げを目指す。

「空」を担うのは、2035年時点に約53兆円のGDP押し上げ効果を狙う次世代ワイヤレス(NTN、5G/6G等)だ。2040年度までに20.5兆円の投資を想定している。技術面で強みを活かし、ゲームチェンジャーと目される衛星光通信やAI RANで世界市場での存在感を高め、2035年までに国内市場規模を10兆円拡大を目指す。衛星光通信の端末市場でのグローバルシェア10%以上獲得を筆頭に、vRAN/AI RAN、フィジカルAI・IoT通信基盤、ミリ波関連機器など複数市場での国際シェア獲得を目標としている。

これらの重点技術を支える横断的な課題として、人材育成、産学官連携、スタートアップ支援、利用環境整備が挙げられている。専門人材不足への対応として大学・研究機関と企業による「産学人材プラットフォーム(仮称)」の構築を打ち出し、スタートアップについては量産化・サービス化段階(フェーズ3)への新たな支援スキームを検討課題とした。

今後は、信頼性や高品質といったJapan Qualityを最大限に発揮し、価格競争ではなく付加価値で勝負する産業構造への転換を急ぐ。単にデジタル技術を利用するだけでなく作れる国へと回帰し、黒字を生むデジタル産業を育成することで、日本経済の持続的な成長を実現していく考えだ。政府は、令和8年夏の最終的な成長戦略策定に向け、制度改革や公共調達による需要創出策の具体化を継続して進めていくとしている。

参照:総務省「情報通信成長戦略官民協議会 中間取りまとめ」

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