ソフトバンク、単一光トランシーバーで3世代PON共存に成功
ソフトバンク株式会社は2026年9月8日に、フィンランドの通信機器大手ノキアの協力を得て、商用ネットワークに接続した光ファイバーを用い、通信規格の異なる3世代の光通信方式(GPON、XGS-PON、50G-PON)を単一の光トランシーバーで同一ファイバー上に共存させるフィールドトライアルに国内で初めて成功したと発表した。さらに、商用設備に接続された既設の加入光ファイバー上において、現在稼働しているGPONおよびXGS-PONの光信号に対し、将来的な実用化が期待されている次世代規格100G-PONを想定した100Gbps光信号を多重(重畳)伝送し、受信側で100Gbpsの伝送速度を確認する実証にも国内初として成功を収めた。現代社会では、生成AIの日常的な活用やクラウドサービスへのアクセス拡大、高精細な映像コンテンツの普及などを背景に、データ通信量が世界規模で加速度的に増大している。とりわけ利用者が画像や大容量映像データをクラウド環境へ送信する上り通信需要の拡大が顕著となっており、一般家庭向け接続にとどまらず法人向けデータ通信やモバイル基地局を収容する基盤として、光アクセス網の全般的な高速化と大容量化が強く求められていた。

通信容量を増大させるために全国へ張り巡らされた既存の光ファイバー網や通信設備全体をすべて刷新することは、莫大な投資コストや工事期間を要するため現実的ではない。そのため、すでに敷設されている通信資産を最大限に活用しながら、通信需要の推移に合わせて新たな通信規格をスムーズに段階導入できるネットワークアーキテクチャの確立が業界全体の大きな課題となっていた。今回のフィールドトライアルでは、ノキアが技術支援および提供を行った研究開発用試験システムや機器を活用し、下り最大2.5Gbps級のGPON、上下最大10Gbps級のXGS-PON、そして下り最大50Gbps級を誇る50G-PONという3方式に1台で対応する「Tri-rate光トランシーバー」を導入した。通常であれば通信規格ごとに個別の光トランシーバーが必要となるが、一つの接続ポートと一つのTri-rate光トランシーバーのみで3方式の光信号を一括送信する構成を実現した。これら3つの方式は相互に異なる光波長を使用しているため同一ファイバー内での干渉を回避して共存できる特性があり、この仕組みを活かして既存のサービス提供を維持したまま、大容量通信を必要とする拠点へ50G-PONを柔軟に追加できる運用モデルが実証された。
あわせて実施された100G-PONの重畳実証においては、現在国際標準化に向けて技術検討が進められている次世代の100Gbps級PON技術を視野に入れ、ノキアの研究開発用試験システムを用いて既設の商用加入光ファイバー上で実験が行われた。既存のGPONおよびXGS-PONの信号が流れる稼働中の加入光ファイバーに対し、100Gbpsの試験光信号を波長多重して重ね合わせて伝送し、受信側で信号を正確に測定した結果、100Gbpsの通信速度が安定して確認された。これにより、将来さらに大容量な通信規格が登場した場合でも、既設の加入光ファイバーをそのまま流用して次世代規格へと段階的に進化させられる道筋が実証データとして確立された形だ。同社は今後、50G-PONのトライアルで得られた知見を基盤として、既存のユーザー環境を損なうことなく超高速通信を求める企業や拠点へ柔軟に新世代サービスを展開できるネットワークの早期構築を推進する。さらに100G-PONについても、実際のデータ通信を想定した実効速度の測定、伝送安定性、光ファイバーの分岐数や信号損失の検証、既存方式への影響評価など、将来の商用化を見据えた高度な技術検証を着実に継続していく構えだ。
膨大なトラフィックを伴うAI時代の到来を目前に控え、敷設済みの光インフラを維持しながらシームレスに通信容量を拡張できるこの先進的な光伝送技術は、効率的な設備投資と超高速ネットワーク社会の実現を力強く牽引する極めて画期的な成果となる。
参考URL:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2026/20260908_01/
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